『吾妻鏡』のおすすめ本7選|現代語訳・マンガ・原文まで目的別に紹介

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もぐたろう
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今回は『吾妻鏡』のおすすめ本を、①マンガ ②わかりやすい入門書・解説書 ③現代語訳 ④原文・訓読 の4タイプに分けて、目的別に紹介していくよ! 先に結論を言っちゃうと、迷ったらこの記事の最初に紹介する「マンガで読む」の1冊から入れば間違いなし。いきなり原文に手を出すと、ほとんどの人が最初の数ページで力尽きちゃうんだ…。

『吾妻鏡』と聞くと、研究者だけが読む難解な史料——そんなイメージを持っている人は多いはずです。ところが実は、吾妻鏡あづまかがみの中身は、鎌倉幕府の中枢にいた人たちの権力闘争がびっしり書き込まれた、きわめて生々しい記録なのです。

暗殺、粛清、裏切り、そして土地をめぐる終わりのない争い。江戸幕府を開いた徳川家康もこの本を愛読し、みずから刊行させたと伝えられているほどです。為政者にとっては、生きた教科書だったのでしょう。

とはいえ、いきなり原文に挑むと挫折するのもまた事実。この記事では、『吾妻鏡』を実際に読むためのおすすめ本を、マンガ・入門書・現代語訳・原文の順に、難易度が上がる並びで紹介していきます。

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吾妻鏡とは?

3行でわかるまとめ

① 『吾妻鏡』は鎌倉幕府の関係者が編んだとされる歴史書で、治承4年(1180年)から文永3年(1266年)までの出来事を日付順に記録しています。

② 源頼朝の挙兵から北条氏による政治の確立までが主役で、合戦だけでなく儀式・人事・日常の出来事まで淡々と書き並べられています。

③ マンガ・入門書・現代語訳がそろっているため、予備知識ゼロでも目的に合わせて読み始められます。

『吾妻鏡』は、鎌倉幕府の関係者によって編まれたとされる歴史書です。治承じしょう4年(1180年)、以仁王もちひとおうが平氏打倒を呼びかけた記事から始まり、源頼朝の挙兵へと続いていきます。記録が終わるのは文永ぶんえい3年(1266年)。1180年から1266年まで、およそ86年分の記録ということになります。

全52巻とされていますが、途中には記事を欠く巻や年もあり、すべての年が均等に埋まっているわけではありません。

記述の形式は編年体へんねんたいです。テーマごとにまとめるのではなく、「何年何月何日に、こういうことがあった」と日付順に並べていく書き方をいいます。日記や業務日誌に近い形だと考えるとイメージしやすいはずです。

成立した時期は鎌倉時代の後期、13世紀末から14世紀初めごろと考えられていますが、誰が編纂へんさんしたのかは特定されておらず、諸説あります。幕府の記録や関係者の日記などをつなぎ合わせて編まれたとされています。

登場するのは、鎌倉幕府をつくり動かした人々です。前半の主役は源頼朝。頼朝の死後は、2代将軍の源頼家、3代将軍の源実朝と続き、そのかたわらで北条政子北条義時ら北条氏が力を伸ばしていきます。

そして承久の乱を経て、北条氏が代々執権しっけんの座を握る執権政治が固まっていく。その流れが、日付の積み重ねとして目の前に立ち上がってくるのが『吾妻鏡』の面白さです。

ただし『吾妻鏡』は、中立な記録として読むべきではないとされています。編纂したのが北条氏の政権下の人々だったため、北条氏に都合よく書かれた部分や、後から書き足された記述があると指摘されてきました。教科書でも鎌倉時代を知る基本史料として扱われますが、「幕府側から見た記録」という前提を持って読むのが、現在の一般的な向き合い方です。

ちなみに、2022年に放送されたNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』も、この『吾妻鏡』の記述を下敷きにした場面が多いと言われています。ドラマで気になった事件を原典で確かめてみる、という読み方もできるわけです。

ゆうき
ゆうき

授業でも大河ドラマでも名前は出てくるけど、『吾妻鏡』って結局なにが書いてある本なの? 合戦の記録がずらっと並んでる感じ?

もぐたろう
もぐたろう

合戦の記録ももちろんあるけど、それだけじゃないんだ。誰が誰に土地を与えたか、どんな儀式をやったか、将軍が体調を崩した、そんな細かい話まで日付つきで書いてある。幕府の“業務日誌”に近いイメージだよ。だからこそ、事件と事件のあいだに流れていた普通の時間まで見えてくるんだ。

もぐたろう
もぐたろう

とはいえ、全52巻を頭から読むのはさすがにキツいよね。だから目的に合わせて、マンガ・入門書・現代語訳・原文の順に紹介していくよ。上から順に難易度が上がる並びだから、自分がどこまで行きたいかで選んでみて!

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マンガで読む

『吾妻鏡』は編年体の記録なので、登場人物も出来事も一気に押し寄せてきます。誰が味方で誰が敵なのかを整理しないまま読み進めると、名前の洪水で沈んでしまいます。

まず物語としての流れと空気感をつかみたいなら、マンガ版がいちばん挫折しにくい入り口です。古典のマンガ化では、『地球へ…』などで知られる竹宮惠子たけみやけいこさんが手がけたシリーズがよく知られています。人物の顔と関係が絵で入ってくるので、その後の解説書や現代語訳の理解速度がまるで変わってきます。

①まず挫折せずに読みたいなら|人物の顔と関係が一目でわかる

まず紹介するのは、竹宮惠子さんによるマンガ版です。頼朝の挙兵から義仲の上洛じょうらくあたりまでを、躍動感のあるタッチで物語として描き切っています。文庫版は上・中・下の全3巻構成で、まずは上巻から読み始めれば十分に世界観に入り込めます。

✓ こんな人におすすめ

人物の顔と関係性を先に頭に入れてから読み進めたい人。原文に挑む前の挫折しにくい入り口を探している人。

△ こんな人には向かない

原文の言い回しや史料としての正確さを重視したい人には、マンガ版はあくまで入り口として物足りない。

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わかりやすい入門書・解説書で読む

マンガで大枠をつかんだら、次は解説書の出番です。『吾妻鏡』の本当の面白さは、頼朝や北条氏だけでなく、その周囲にいた御家人ごけにん——将軍と主従関係を結んだ武士たち——の駆け引きにあります。

誰がいつ滅ぼされ、その裏で誰が得をしたのか。北条時政和田義盛といった有力者が次々に舞台から消えていく理由も、解説を読むとすっと腑に落ちます。

原文の淡々とした記述は、背景を知らないと「ただの出来事の羅列」に見えてしまいます。入門書はその行間を埋めてくれる存在だと考えてください。

②短時間で全体像をつかみたいなら|テンポよく読める解説書

板野博行いたのひろゆきさんによる『眠れないほどおもしろい吾妻鏡』は、鎌倉幕府がどのように権力を固めていったのかを、テンポよく読み進められる文庫です。北条氏に都合よく編纂された「公式レポート」という側面にも触れながら解説されているので、この記事の「吾妻鏡とは?」で紹介した史料批判の視点ともつながります。

✓ こんな人におすすめ

通勤・通学のすきま時間にサクッと全体像をつかみたい人。テンポよく読める解説書を探している人。

△ こんな人には向かない

一次史料に近い形で細部まで確認したい人には、この1冊だけでは物足りない。


③『吾妻鏡』のカラクリまで知りたいなら|編纂の裏側を掘り下げる新書

もう一歩踏み込みたい人には、藪本勝治やぶもとかつじさんの『吾妻鏡―鎌倉幕府「正史」の虚実』がおすすめです。平家追討・奥州合戦・実朝暗殺・承久の乱といった主要な合戦や争乱の記述を検証し、「正史」に潜む脚色や、幕府が隠したかった意図を掘り下げた1冊です。2024年7月刊行と比較的新しく、近年の研究成果も踏まえています。

✓ こんな人におすすめ

『吾妻鏡』がどのように編纂され、何が誇張・隠蔽されているのかを踏み込んで知りたい人。

△ こんな人には向かない

まずは物語としての流れだけをつかみたい人には、やや専門的で新書としては読みごたえがある内容。

現代語訳で読む

内容がつかめたら、いよいよ『吾妻鏡』そのものの文章に近づいてみましょう。現代語訳なら、原文の言い回しに慣れていなくても、記述の“手ざわり”を保ったまま読み進めることができます。

本格的に通読したい人に向けては、五味文彦ごみふみひこさんらが編んだ現代語訳のシリーズが定番とされています。分量はかなりのものですが、興味のある事件が起きた年の巻から拾い読みしていくという読み方もできます。

あゆみ
あゆみ

歴史番組を見ていると「吾妻鏡によると」ってよく聞くのよね。あの原典の雰囲気って、翻訳でも味わえるものなのかしら?

もぐたろう
もぐたろう

味わえるよ! 『吾妻鏡』って、感情をほとんど書かないのが特徴なんだ。人が死んだ日も、天気や儀式の記録と同じ調子で一行だけ書かれてたりする。その素っ気なさが逆にこわい…。現代語訳でもその独特の温度感は残ってるから、まずは知ってる事件の日付を探して開いてみるのがおすすめだよ。

④原文の記述に沿って通読したいなら|頼朝挙兵から読み進める現代語訳

本格的に通読したい人には、五味文彦さん・本郷和人ほんごうかずとさんらが編んだ『現代語訳 吾妻鏡』の第1巻「頼朝の挙兵」から読み始める方法があります。全16巻+別巻という大部のシリーズですが、日付ごとの記述をほぼそのまま現代語に置き換えているため、原文の“手ざわり”を保ったまま読み進めることができます。

吾妻鏡:現代語訳(1)頼朝の挙兵

五味文彦・本郷和人 著|吉川弘文館

✓ こんな人におすすめ

最初から順番に、原文の記述に近い形で通読していきたい人。

△ こんな人には向かない

全16巻+別巻というボリュームを前に、まず1冊だけで全体像をつかみたい人には不向き。


⑤承久の乱だけ読んでみたいなら|気になる事件から拾い読みできる

全巻を頭から読む時間がない人は、同じシリーズの中から興味のある事件が起きた巻だけを選んで読むこともできます。たとえば第8巻「承久の乱」は、北条義時と後鳥羽上皇が激突した『吾妻鏡』屈指の山場を扱っています。気になる事件の巻から拾い読みしていく読み方もおすすめです。

吾妻鏡:現代語訳(8)承久の乱

五味文彦・本郷和人 著|吉川弘文館

✓ こんな人におすすめ

承久の乱など、気になる事件のところだけを現代語訳で読んでみたい人。

△ こんな人には向かない

頼朝挙兵からの流れを順番に追いたい人は、まず第1巻から読むほうが理解しやすい。

原文・訓読に挑戦したい人へ

現代語訳で流れをつかんだら、最後は原文です。『吾妻鏡』の原文は、漢文の形をとりながら日本語の語法が混じった独特の文体(変体漢文)で書かれており、そのままでは日本語として読み下すのが難しくなっています。

そこで手がかりになるのが、日本語の語順に読み下した訓読くんどくつきのテキストです。原文と読み下し文を見比べながら進めれば、独学でも歯が立たないということはありません。

史料そのものに向き合ってみたい人、卒業論文やレポートで『吾妻鏡』を引用したい人は、このグループから選んでください。

⑥訓読で原文の語感に触れたいなら|読み下し文+注釈の定番

原文そのものに近づきたい人には、龍粛りょうすすむさんが訳註やくちゅうした岩波文庫版『吾妻鏡』が古くからの定番です。変体漢文の原文を日本語の語順に読み下した訓読文に、注釈を添えた形で収録されています。1939年から刊行が始まった歴史ある訳註ですが、全8巻の予定に対して第5冊までで刊行が止まった未完の訳註とされています。現在は品切のため、入手は古書店や図書館が中心になります。

吾妻鏡(一)

龍粛(訳註) 著|岩波書店

✓ こんな人におすすめ

訓読(読み下し文)で原文の語順・語感に触れてみたい人。

△ こんな人には向かない

注釈が学術的なため、初めて『吾妻鏡』に触れる人がいきなり読むには難易度が高い。全8巻の予定に対して第5冊までで未完のうえ、現在は品切のため入手しにくい点にも注意。


⑦研究・レポートで原文を確認したいなら|校訂された漢文原文そのもの

大学のレポートや論文などで原文そのものを引用したい場合は、黒板勝美くろいたかつみさんが編纂した『国史大系 吾妻鏡』が基本の底本として使われています。変体漢文の原文が校訂された形で収録されており、訓読・現代語訳と突き合わせながら読むための土台になります。

✓ こんな人におすすめ

校訂された原文(変体漢文)そのものを確認したい、研究・レポート用途の人。

△ こんな人には向かない

訓読すら未経験の段階でいきなり手に取ると、最初の数行で挫折しやすい。

まとめ

最後に、ここまで紹介した本を比較表でまとめておきます。難易度のほか、Kindle Unlimited・Audibleの対象かどうかもあわせて確認して、自分に合う1冊を選ぶ目安にしてください。

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📚 タイトル難易度Kindle
Unlimited
Audibleこんな人向け
①吾妻鏡(上)―マンガ日本の古典14
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●○○ 初心者 まず物語の流れをつかみたい人
②眠れないほどおもしろい吾妻鏡
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●○○ 初心者 短時間でテンポよく全体像をつかみたい人
③吾妻鏡:鎌倉幕府「正史」の虚実
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●●○ 中級 編纂の裏側・史料批判まで踏み込みたい人
④吾妻鏡:現代語訳(1)頼朝の挙兵
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●●○ 中級 原文に近い形で最初から通読したい人
⑤吾妻鏡:現代語訳(8)承久の乱
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●●○ 中級 気になる事件だけ拾い読みしたい人
⑥吾妻鏡(一)〈岩波文庫〉
※全8巻予定のうち第5冊までの未完・現在は品切。古書か図書館で探す本です
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●●● 上級 訓読で原文の語感に触れたい人
⑦国史大系 吾妻鏡(1)〈新訂増補・普及版〉
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●●● 上級 校訂された原文そのものを確認したい人

✓=対象、✕=対象外、△=対象かどうかを確認できませんでした(2026年8月時点。対象作品は入れ替わるため、最新の状況は各商品ページでご確認ください)

もぐたろう
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以上、『吾妻鏡』のおすすめ本のまとめでした。最初の1冊はマンガか入門書でぜんぜんOK。人物の顔と流れが頭に入ってから現代語訳に進むと、同じ文章でも読める量が段違いになるよ。Audibleや Kindle Unlimitedの無料体験を使えば、対象になっている本は0円で試せるから、気になった1冊から手をつけてみてね。下の記事もあわせて読むと、『吾妻鏡』に出てくる人たちのことがもっとよくわかるよ!

参考文献

コトバンク「吾妻鏡」(デジタル大辞泉・日本大百科全書・世界大百科事典)(2026年8月確認)
Wikipedia日本語版「吾妻鏡」「龍粛」(2026年8月確認)
山川出版社『詳説日本史』
中央公論新社・吉川弘文館・三笠書房・岩波書店の各書籍紹介ページ(2026年8月確認)
国立国会図書館サーチ/CiNii Research(各紹介書籍の書名・著者・出版社・刊行年)(2026年8月確認)

記事の誤りを発見された場合はお問い合わせください。確認後、修正します。

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この記事を書いた人
もぐたろう

教育系歴史ブロガー。
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