今昔物語集のおすすめ本7選|現代語訳・マンガ・原文から芥川龍之介の翻案まで

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もぐたろう
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今回は今昔物語集のおすすめ本を、マンガ・現代語訳・原文・芥川龍之介の小説という4つの目的別に紹介していくよ! 先に結論を言っちゃうと、迷ったら角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックス『今昔物語集』を選べば間違いなし。有名な話を選んで、ふりがな付きの原文と現代語訳をセットで読めるんだ。いきなり原文から入ると、漢字とカタカナの壁で最初の1話から心が折れちゃうからね…。

分厚くて読みにくい、平安時代の古典。そんなイメージで敬遠されがちな今昔物語集こんじゃくものがたりしゅうですが、実は芥川龍之介あくたがわりゅうのすけの『羅生門らしょうもん』『鼻』『芋粥いもがゆ』の元ネタがまとめて詰まった一冊なのです。

盗人の話、鬼や化け物の話、見栄っ張りな役人の失敗談、武士の武勇伝……。お説教くさい本を想像していると、いい意味で裏切られます。ひとことで言えば、平安時代のバラエティ本のような存在です。

この記事では、そんな今昔物語集を実際に読むためのおすすめ本を紹介します。記事の最後には、紹介した7冊の難易度や、読み放題・聴き放題サービスの対象かどうかを比較表にまとめています。

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今昔物語集とは?

3行でわかるまとめ
  • 平安時代の後期、12世紀前半ごろに成立したとされる日本最大級の説話集で、まとめた人物(編者)は分かっていません。
  • インド・中国・日本の3つの地域の話を、1000話あまり収めているとされています。
  • 芥川龍之介の『羅生門』『鼻』『芋粥』など、近代文学の元ネタになった話を多く含んでいます。

今昔物語集は、平安時代の後期に成立したとされる説話集です。説話とは、人々の間で語り伝えられてきた短いお話のことで、そうした話を集めて1冊にまとめた本を説話集と呼びます。

収められた話の内容などから、1120年代以降の成立とみる説が有力ですが、正確な成立年はわかっていません。

まとめた人物も未詳です。かつては貴族の源隆国みなもとのたかくにを編者とする説もありましたが、現在ではそのままの形では受け入れられておらず、誰の手によるものかは謎のままとされています。

書名は、ほとんどの話が「今は昔」という言葉で始まることに由来するとされています。話の終わりも「となむ語り伝へたるとや」という決まり文句で締めくくられ、「…と語り伝えられているということだ」という、昔話らしい語り口で統一されているのです。

構成は地域ごとに整理されています。巻1〜5がインドを指す天竺てんじくの部、巻6〜10が中国を指す震旦しんたんの部、巻11〜31が日本を指す本朝ほんちょうの部です。

ただし全31巻のうち、巻8・巻18・巻21の3巻は欠けていて、現在に伝わるのは28巻とされています。本朝の部はさらに、仏教にまつわる話を集めた「仏法」の巻と、世の中の出来事を集めた「世俗」の巻に分かれます。

中身の幅の広さも、この本の大きな魅力です。仏の教えを説く話がある一方で、盗人や鬼、化かす狐、武士の戦い、思わず笑ってしまう失敗談まで、題材はかなり自由です。貴族だけでなく庶民の姿も生き生きと描かれていることから、当時の暮らしを知る手がかりとしても読まれています。

ゆうき
ゆうき

国語の授業で『羅生門』を読んだんですけど、あれってもともとは今昔物語集の話なんですか? テスト前に元の話も知っておきたいです!

もぐたろう
もぐたろう

そうなんだよ!『羅生門』は、羅城門らじょうもんの上にのぼった盗人が、死人の髪を抜く老婆に出くわす話がおもな元ネタとされているんだ。『鼻』は長すぎる鼻に悩むお坊さんの話、『芋粥』は芋粥を飽きるほど食べたいと願う下級役人の話がもとになっているよ。芥川は、短くてあっさりした説話に「人の心の揺れ」をたっぷり書き足して小説に仕立てたんだ。だから元の話と読み比べると、どこを芥川が付け足したのかが見えてきて面白いよ◎

なお、『鼻』と『芋粥』のもとになった話は、鎌倉時代に成立したとされる説話集宇治拾遺物語うじしゅういものがたりにも、ほぼ同じ題材で収められています。説話は本から本へと語り継がれていったため、同じ話が別の説話集に入っていることも珍しくないのです。

今昔物語集に入っている有名な話のあらすじや、作品の特徴をもっと詳しく知りたい人は、今昔物語集の内容や有名な話をまとめた解説記事もあわせて読んでみてください。

あゆみ
あゆみ

有名な話はなんとなく知っているんです。でも原文は難しそうだし、本屋さんに行っても種類が多すぎて…。まずどの本から手をつければいいのか分からないんですよね。

もぐたろう
もぐたろう

大丈夫! 今昔物語集は話の数がとにかく多いから、いきなり全巻読破を目指す必要はないんだ。本の種類が多いのも、それだけ入り口がたくさんあるってこと。「どこまで深く読みたいか」で選べば、自分に合う1冊がきっと見つかるよ。平安時代の人たちが何に笑って、何を怖がっていたのか。それを当時の語り口のまま味わえるのが、今昔物語集のいちばんの面白さなんだ◎

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マンガで読む

まずは物語の雰囲気をつかみたい人には、マンガから入るのがいちばんの近道です。鬼や化け物が出てくる話も多いので、絵で見るとその不気味さや可笑しさが一気に伝わってきます。

①絵から入って世界観をつかみたいなら|水木しげるタッチで妖しさが伝わる

水木しげるが今昔物語集の著名な話を選んで漫画化した一冊です。全23話を完全収録しており、鬼や妖怪、化け物が出てくる話の不気味さや可笑しさが、水木しげる特有の緻密な画で生き生きと伝わってきます。

✓ こんな人におすすめ

まず物語の雰囲気をつかみたい人、鬼や化け物の不気味さを絵で味わいたい人。

△ こんな人には向かない

原文の言葉づかいそのものを味わいたい人には、この章より下の現代語訳・原文版のほうが向いています。

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読みやすい現代語訳で読む

原文は少しハードルが高いけれど、話の面白さはしっかり味わいたい。そんな人には現代語訳がぴったりです。有名な話だけを選んで訳した入門向けの本から、特定の部をまとめて訳した本まであるので、どこまで読みたいかで選ぶのがコツです。

①テスト前に速攻で有名な話をつかみたいなら|ふりがな付きで一番読みやすい

角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックス版は、今昔物語集の中でも特に有名な話を選び、ふりがな付きの原文と現代語訳をセットで読める入門書です。分量も少なめなので、初めての1冊にぴったりです。

✓ こんな人におすすめ

初めて今昔物語集に触れる人、テスト前に短時間で有名な話を読んでおきたい人。

△ こんな人には向かない

たくさんの話をまとめて読みたい人には、収録話数が少なめです。


②本朝の説話をじっくり読み込みたいなら|世俗篇の前半を全文現代語訳

講談社学術文庫の本朝世俗篇ほんちょうせぞくへん(上)は、日本を舞台にした世俗説話のうち巻22〜26をすべて現代語訳した一冊です(巻27〜31は下巻に収録)。語注も充実しており、たくさんの話をまとめて読み込みたい人に向いています。

なお、芥川龍之介の作品の元になった話のうち、この上巻に入っているのは『芋粥』(巻26)だけです。『鼻』(巻28)と『羅生門』(巻29)の元になった話は、下巻に収められています。

✓ こんな人におすすめ

本朝の世俗説話をまとめてじっくり読みたい人、語注を頼りに読み進めたい人、『芋粥』の元になった話を全訳で読みたい人。

△ こんな人には向かない

手軽に有名な話だけを読みたい人には、分量が多めです。


③原文と現代語訳を読み比べたいなら|1冊で両方が読める

小学館「日本の古典をよむ」シリーズの一冊で、本朝部から著名な37話を厳選し、原文と現代語訳の両方で読める構成になっています。オーディオブック版(Audible)も配信されているので、耳から聴きたい人にもおすすめです。

日本の古典をよむ(12)今昔物語集

馬淵和夫・国東文麿・稲垣泰一 著|小学館

✓ こんな人におすすめ

原文と現代語訳を見比べながら読みたい人、オーディオブックで耳から聴きたい人。

△ こんな人には向かない

電子書籍(Kindle)でサッと読みたい人には、単行本のみのため不向きです。

原文に挑戦したい人へ

古典の授業や受験に備えて原文に慣れておきたい人、じっくり読み込みたい人には、原文と注釈がそろった本がおすすめです。注釈を頼りに読み進めると、現代語訳では消えてしまう語り口のリズムまで味わえます。

なお、ここで紹介する岩波文庫版は2026年9月時点で版元品切れのため、ネット書店の在庫や古書で探すことになります。

①芥川作品の元になった話を原文で読みたいなら|本朝部のクライマックスを収録

岩波文庫の「本朝部(下)」は、日本を舞台にした本朝の部のうち、巻26〜31から話を選んで収めた一冊です。鬼や霊が出てくる話、盗みや悪事の話など、本朝部の後半にあたる世俗説話が中心です。

岩波書店の紹介でも、芥川龍之介の『羅生門』『藪やぶの中』などがこの巻の話から生まれたと案内されています。教科書でおなじみの作品の元になった話を、原文で確かめてみたい人に向いた1冊です。

✓ こんな人におすすめ

芥川作品の元になった話を原文で読んでみたい人、古典の授業や受験に備えて原文に慣れておきたい人。

△ こんな人には向かない

仏教説話を集めた本朝部の前半や、インド・中国を舞台にした天竺・震旦部の説話も読みたい人には、この1冊だけでは収録範囲外です。


②天竺・震旦・本朝の3部を原文で読みたいなら|約400話を選りすぐって収録

天竺(インド)・震旦(中国)・本朝(日本)の3部すべてにわたって説話を選んだ、岩波文庫版の全4冊セットです(先に紹介した本朝部(下)も含まれます)。全1000話あまりから約400話を選んで収めた抄録版なので全話は読めませんが、3部をひと通り原文で読めるセットとしては、文庫で手に取りやすい選択肢です。

今昔物語集 全4冊セット

池上洵一 著|岩波書店

✓ こんな人におすすめ

天竺・震旦・本朝の3部をひと通り原文で読みたい人。

△ こんな人には向かない

電子書籍(Kindle)で手軽に持ち歩きたい人には、紙の文庫版のみのため不向きです。

芥川龍之介の翻案で読む

『羅生門』『鼻』『芋粥』といった近代文学の名作から、今昔物語集の世界に入るという読み方もあります。

もぐたろう
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翻案っていうのは、元の話の筋を借りて、新しい作品に作り直すこと。今でいうリメイクに近いよ! 元の説話と読み比べると、芥川が短い話にどんな人間ドラマを書き足したのかがよく見えてくるんだ。

①近代文学から今昔物語集に触れたいなら|教科書でおなじみの3篇

角川文庫の『羅生門・鼻・芋粥』は、今昔物語集を原典とする表題作3篇をはじめ、芥川龍之介の初期作品を中心に計18編を収めた短編集です。国語の教科書で読んだ作品の元ネタを知りたい人には、この翻案作品から入るのもおすすめです。

羅生門・鼻・芋粥

芥川龍之介 著|KADOKAWA

✓ こんな人におすすめ

教科書で読んだ『羅生門』などの元ネタを知りたい人、近代文学から今昔物語集に入りたい人。

△ こんな人には向かない

今昔物語集そのものの原文・現代語訳を読みたい人には、上の章で紹介した本のほうが向いています。

まとめ

最後に、ここまで紹介した本を比較表でまとめておきます。難易度や、読み放題・聴き放題サービスの対象になっているかどうかを見比べて、自分に合う1冊を選んでみてください。

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📚 タイトル難易度Kindle
Unlimited
Audibleこんな人向け
①今昔物語[全](水木しげる漫画大全集)
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●○○ 初心者 ✕ ✕ 絵で雰囲気をつかみたい人
②今昔物語集 ビギナーズ・クラシックス
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●○○ 初心者 ✓ ✕ 初めての1冊・テスト前に速習したい人
③今昔物語集 本朝世俗篇(上)全現代語訳
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●●○ 中級 ✕ ✕ 本朝の世俗説話をまとめて読みたい人
④日本の古典をよむ(12)今昔物語集
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●●○ 中級 ✕ ✓ 原文と現代語訳を読み比べたい人
⑤今昔物語集 本朝部(下)
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●●● 上級 ✕ ✕ 芥川作品の元話を原文で読みたい人
⑥今昔物語集 全4冊セット
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●●● 上級 ✕ ✕ 3部をひと通り原文で読みたい人
⑦羅生門・鼻・芋粥
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●○○ 初心者 ✕ ✕ 近代文学から今昔物語集に触れたい人

✓=対象、✕=対象外、△=時期により変動(最新は各商品ページでご確認ください/2026年9月時点)

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以上、今昔物語集のおすすめ本のまとめでした! 全部を最初から読み通そうとしなくて大丈夫。気になった話からつまみ食いするのが、説話集のいちばん気楽な楽しみ方だよ。下の記事では他の古典のおすすめ本も紹介しているから、あわせて読んでみてください。Kindle UnlimitedやAudibleは無料体験から始められるから、比較表で対象になっている本があれば、まずはサブスクで気軽に試してみるのもアリだよ◎

参考文献

コトバンク「今昔物語集」(デジタル大辞泉・日本大百科全書・世界大百科事典/2026年9月確認)
Wikipedia日本語版「今昔物語集」(2026年9月確認)
Wikipedia日本語版「羅生門 (小説)」「鼻 (芥川龍之介)」「芋粥」(2026年9月確認)
紹介書籍の版元公式ページ(KADOKAWA・講談社・小学館・岩波書店)・国立国会図書館サーチ・openBD書誌情報(2026年9月確認)

記事の誤りを発見された場合はお問い合わせください。確認後、修正します。

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この記事を書いた人
もぐたろう

教育系歴史ブロガー。
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