カルテル・トラスト・コンツェルンの違いを簡単にわかりやすく解説!

カルテル・トラスト・コンツェルンの違いを示した図。企業の結合のしかたを3類型で比較
この記事の目次 7項目はじめに
  1. カルテル・トラスト・コンツェルンとは?
  2. カルテル(企業連合)
  3. トラスト(企業合同)とは
  4. コンツェルン(企業連携)
  5. コンツェルンと財閥
  6. 独占禁止法
  7. まとめ
もぐたろう
もぐたろう

今回は、独占・寡占市場でよくみられるカルテル・トラスト・コンツェルンという3つの仕組みについて、わかりやすく丁寧に解説していくね!

この記事を読んでわかること
  • カルテル・トラスト・コンツェルンってなに?
  • カルテル・トラスト・コンツェルンは、競争とどう関係するの?
  • 日本の財閥はコンツェルンなの?
  • 独占禁止法ってなに?
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カルテル・トラスト・コンツェルンとは?

カルテル・トラスト・コンツェルンは、企業同士の結びつき方を表す用語です。カルテルは協定、トラストは合併などによる合同、コンツェルンは資本関係による企業集団と区別すると、違いがつかめます。いずれも独占・寡占と関連して学ぶ用語ですが、企業が結びつくだけで直ちに違法になるわけではありません。

比較項目カルテルトラストコンツェルン
結びつき方価格・生産量などの協定合併などで企業を合同株式所有などの資本関係で統一的に支配
会社の独立性各社は独立したまま合併の場合は一つの会社になる各社の法人格は残る
業種の典型同じ業種の企業同じ業種の企業異なる業種にもまたがる
具体的なイメージ別会社のA社・B社が価格を取り決める競争相手のA社・B社が合併する戦前の三井・三菱などの財閥
表は横にスクロールできます
学習上の典型を比較した表です。用語名を押すと、それぞれの説明へ移動できます。

※A社・B社は仕組みを説明するための架空例です。歴史上のトラストには合併以外の形もあり、すべての合併をトラストや違法な行為と呼ぶわけではありません。コンツェルンも、持株会社を使う形だけに限られません。

独占・寡占とは

『寡占』とは、ある商品の生産量・価格などを市場の少数企業が支配している状態のこと

『独占』とは、ある商品の生産量・価格などを1社がほとんど独占してしまっている状態のこと

競争が弱まると、価格が高止まりするなど、消費者が不利益を受けるおそれがあります。

そこで日本では、公正で自由な競争を守るために、独占禁止法がカルテルや競争を実質的に制限する企業結合などを規制しています。

もぐたろう
もぐたろう

日本では、競争相手同士が価格などを取り決めて競争を制限するカルテルは原則禁止。一方、合併や持株会社そのものが一律に禁止されているわけではないよ。市場の競争にどう影響するかが大切なんだ。

・・・というわけで、さっそくカルテル・トラスト・コンツェルンについて詳しく解説していきます。

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カルテル(企業連合)

カルテル(企業連合)

カルテル(企業連合)とは、同じ業界の企業が、それぞれ独立したまま価格・生産量・販売先などを取り決め、競争を制限することです。たとえば、ライバル同士で商品の価格を高くそろえる「価格カルテル」があります。

A社
A社

俺たち、これまで価格競争のライバルだったけど、これから話し合いで商品の価格を統一しね?

どの会社の商品も同じ値段なら、たとえ高い値段でも消費者は買わざるを得ないし、高値で商品が売れれば俺もB社もガッポリ儲けられてWin-Winだぜ!!

B社
B社

そうだな・・・。なんか価格競争って疲れるしな・・・。

今より楽に儲かるならそっちの方がいいわ。

もぐたろう
もぐたろう

こうやって話し合いで価格を決められると、「需要と供給で価格は決まる」という市場の基本原理が歪められてしまい、消費者は本来より高値で商品を買わねばならず、不利益を被ることになるんだ。

参入企業が少ない寡占市場だと、わずか数社だけの話し合いで価格を決めることができるから、簡単にカルテルができてしまいます。

寡占市場では価格はどうやって決まる?

寡占市場では、企業間の取り決めがなくても、各社の商品価格が横並びになることがあります。価格が同じになっただけで、直ちにカルテルと決まるわけではありません。価格などを申し合わせて競争を制限したかが問題になります。

・・・というのも、ライバルの少ない寡占市場で特に影響力の持つ企業が『この商品は150円!』って定めると、

他のライバルたちも価格競争をしたくないので『じゃあ俺の商品も150円!』と追随して、結果的にカルテルと似たような状況が生まれてしまうのです。

寡占市場で、率先して価格設定を行う企業のことをプライスリーダーと言い、プライスリーダーにより設定された価格のことを管理価格と言います。

もぐたろう
もぐたろう

カルテルほど露骨なやり方ではないものの、管理価格も『価格は需要と供給の量で決まる』という市場原理をみだして消費者に不利益となることがあるよ。

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トラスト(企業合同)とは

トラスト(企業合同)
商品を売る会社がA社・B社だけの市場を仮定した、合併方式の例です。合併一般が市場独占になるわけではありません。

トラスト(企業合同)とは、同じ業種の企業が合併などによって結びつき、市場の支配力を強める企業結合の形です。合併して一つの会社になる形を考えると、会社を別々に残すカルテルとの違いがわかります。

A社
A社

俺、思いついたんだけどさ。商品Xって俺とB社しか販売できなくて、B社は長年のライバルで価格競争で戦ってたけど、俺たち合併して1つの巨大企業になれば商品Xを独占して高値で売りほーだいなんじゃね!?

B社
B社

たしかに・・・!

もう争いに疲れたし、いっそライバル同士合体してしまおう!

もぐたろう
もぐたろう

この例では、商品Xを売る会社が二つから一つになって、競争がなくなってしまうね。ただし、合併してもほかの企業との競争が続く場合もあるから、合併なら何でも禁止、という意味ではないよ。

コンツェルン(企業連携)

コンツェルン(企業連携)

コンツェルン(企業連携)とは、各社が法人格を保ちながら、株式所有などの資本関係を通じて統一的に支配される企業集団です。銀行・鉱業・商業など、異なる業種にまたがる形が典型です。

たとえば、持株会社が製造業や金融業などの会社の株式を保有し、グループ全体を統括する形があります。

コンツェルンを構築する持株会社制度

コンツェルンによって構成された企業グループを管理する主要な方法として、持株会社制度というのがあります。

グループ傘下の会社株式を大量に保有する会社のことを持株会社もちかぶかいしゃと言って、持株会社がリーダーとなることでグループ全体を指揮する仕組みです。

※株式会社の経営権は株主にあって、保有している株式が多ければ多いほど発言権が増していきます。この仕組みをコンツェルンに応用したのが持株会社の仕組みです。

コンツェルンでは、企業集団としての力が大きくなり、市場の競争に影響を与えることがあります。

ただし、異なる業種の会社が集まっただけで、特定の商品市場を独占できるわけではありません。

たとえば、同じ商品を売るC社とD社が一つのグループに入り、両社を合わせた市場でのシェアが高くなれば、競争への影響が問題になることがあります。

競争相手がほかにどれだけいるか、新しい企業が参入できるかなども、判断に関わります。

また、同じ企業グループ内の協力と、独立した競争相手同士による価格の取り決めは、区別して考える必要があります。

「コンツェルンだから違法」「グループ内で協力したら必ずカルテル」と、名前だけで判断することはできません。

コンツェルンと財閥

戦前の日本には、いくつもの巨大コンツェルンが存在していました。

戦前の日本の財閥ざいばつは、コンツェルンの代表例です。特に三菱みつびし・三井みつい・住友すみとも・安田やすだの4つは4大財閥と呼ばれ、経済界に大きな影響力を持っていました。財閥はコンツェルンの一類型で、二つの言葉がまったく同じ意味というわけではありません。

三井財閥、住友財閥、三菱財閥のマーク

財閥は、持株会社を中心に金融・商業・工業などの企業をまとめ、戦前の日本経済で大きな力を持っていました。

1945年、太平洋戦争で日本が敗れると、占領下で財閥解体が進められることになりました。

GHQは経済力の集中を解消する方針を示し、財閥本社の解体や所有株式の処分などが進められました。これが財閥解体です。

財閥本社が解体されても、傘下の事業会社の多くは残りました。三菱電機や三井物産など、現在も旧財閥の名前を受け継ぐ会社があります。

財閥解体の目的や進め方は、上のリンク先で詳しく解説しています。

独占禁止法

日本の独占禁止法は、価格や生産量などを申し合わせて競争を制限するカルテルを禁止しています。一方、合併や株式取得などの企業結合は、競争を実質的に制限することとなる場合などに禁止されます。合併や持株会社そのものを、一律に禁止しているわけではありません。

あゆみ
あゆみ

じゃあ、持株会社で企業をまとめることは認められているの?

戦後の独占禁止法では、財閥の復活を防ぐため、持株会社の設立などが全面的に禁止されていました。1997年の法改正で、この持株会社の全面禁止が見直されました。ただし、事業支配力の過度な集中を防ぐ規制などは残っています。

バブル経済の崩壊後、1996年に金融システム改革(金融ビッグバン)の構想が示され、2001年を目標に改革が進められました。持株会社の全面禁止の見直しも、規制緩和が進むこの時期に行われました。

もぐたろう
もぐたろう

1997年は「コンツェルンが初めて認められた年」ではなく、持株会社の全面禁止が見直された年なんだ。

会社が大きいかどうか、どの名前で呼ばれるかだけで、違法とは決められないよ。価格の申し合わせや企業結合が、競争を損なわないかが大切なんだ。

現在も持株会社を中心に経営する企業グループがあり、持株会社の社名に「ホールディングス」などが使われることがあります。セブン&アイ・ホールディングスやキリンホールディングスなどが、その例です。

まとめ

  • カルテルは、別会社のまま価格や生産量などを申し合わせ、競争を制限すること。
  • トラストは、同業企業が合併などで一体化する結合。合併方式では一つの会社になります。
  • コンツェルンは、各社の法人格を残し、資本関係を通じて統一的に支配される企業集団。
  • 企業グループ内の協力だけで、直ちにカルテルや市場独占になるわけではありません。
  • 戦前の財閥はコンツェルンの代表例。戦後、財閥本社の解体などが進められました。
  • 独占禁止法は、競争を制限するカルテルや、競争を実質的に制限する企業結合などを禁止しています。
参考文献

公正取引委員会「不当な取引制限(カルテル)」「競争制限的な企業結合」「独占禁止法の規制内容」(2026年10月確認)
公正取引委員会『平成9年度年次報告』、事業支配力の過度集中に関する指針(2026年10月確認)
コトバンク「トラスト」「コンツェルン」(山川 日本史小辞典・世界史小辞典ほか、2026年10月確認)
金融庁所蔵・旧大蔵省「日本版ビッグバンとは」(2026年10月確認)
三菱オフィシャルサイト「持ち株会社と事業部門の独立」、三井文庫「三井財閥の解体」(2026年10月確認)
セブン&アイ・ホールディングス『2026年株主総会招集通知』、キリンホールディングス「会社概要」(2026年10月確認)

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この記事を書いた人
もぐたろう

教育系歴史ブロガー。
WEBメディアを通じて教育の世界に一石を投じていきます。

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