
今回は、2027年のNHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』の主人公・小栗上野介——小栗忠順を知るためのおすすめ本を、目的別に7冊紹介していくよ!「小説」「評伝」「異説」「勝海舟との対比」の4グループに分けてあるから、読みたい方向から選んでみてね。ちなみに迷ったら、平凡社新書の『小栗上野介』(村上泰賢)が最初の1冊としていちばん確実だよ。
幕末の主役といえば、倒幕を進めた薩長側の志士たち——そんなイメージが強いなかで、小栗忠順の名前を教科書で見た記憶は、ほとんどないはずです。
ところが実は、横須賀の造船所も、出資者を募って事業を興す株式会社という仕組みも、明治政府が進めた近代化の少なくない部分は、この「逆賊」とされた幕臣が幕末のうちに構想していたものでした。2027年の大河ドラマ『逆賊の幕臣』は、その再評価そのものだと言えます。
この記事では、小栗忠順という人物を深く知るための本を、目的別に7冊紹介します。
小栗忠順(小栗上野介)とは?
① 幕末の幕臣。横須賀製鉄所の建設や兵庫商社の設立を進め、近代日本の土台をつくりました。
② 大政奉還のあとも徹底抗戦を主張して罷免され、1868年(慶応4年)に新政府軍によって処刑されています。
③ 2027年のNHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』の主人公として、いま再評価が進んでいる人物です。
小栗は文政10年(1827年)、将軍に直接仕える旗本の家に生まれました。1860年には日米修好通商条約の批准書を交換する遣米使節の一員としてアメリカへ渡り、蒸気機関で動く巨大な工場や、規格の揃ったネジの量産を目の当たりにします。
帰国後は勘定奉行などの要職を歴任し、フランスの技術を導入して横須賀製鉄所(のちの横須賀造船所)の建設に着手しました。1867年には、複数の出資者が資金を出し合って利益を分ける兵庫商社の設立も進めています。日本初の株式会社と紹介されることもありますが、何をもって「初」とするかについては諸説あります。
1867年の大政奉還で15代将軍・徳川慶喜が政権を朝廷へ返上したあとも、小栗は新政府軍を迎え撃つべきだという主戦論を唱え続けました。しかし1868年(慶応4年)の正月に罷免され、上野国(現在の群馬県)の権田村へ引き退きます。
それでも新政府軍は小栗を見逃しませんでした。戊辰戦争のさなかの同年閏4月、取り調べらしい取り調べもないまま処刑されてしまいます。生まれたのが文政10年6月(1827年7月)、亡くなったのが慶応4年閏4月(1868年5月)ですから、誕生日の前に亡くなったことになり、満40歳(数え年では42歳とされます)での死でした。
そして2027年、この小栗を主人公にしたNHK大河ドラマ『逆賊の幕臣』が放送される予定です。主演は松坂桃李さん、脚本は安達奈緒子さんで、初回放送は2027年1月10日と報じられています。小栗が生まれたのは1827年ですから、2027年はちょうど生誕200年の節目にもあたります。
※作品名・主演・脚本・初回放送日は、報道各社が伝えた発表内容にもとづいています。放送日や出演者は今後変更される可能性があるため、最新情報は放送局の発表をご確認ください。

わしは「勝てば官軍」の側にはおらなんだ。だが、この国を動かす仕組みを先に描いたのは、間違いなくわしらのほうだ。名が残らずとも、造った船台と工場は残る。それでよい。

大河の主人公になるくらいすごい人なんだよね? でも勝海舟みたいに名前を見た覚えがないんだけど…同じ幕臣なのに、どうしてこんなに知名度が違うの?

ざっくり言うと、そのあとの歴史を書いたのが勝った側だったからなんだ。徳川慶喜が勝の恭順論を採ったことで、最後まで戦おうとした小栗は「逆賊」の側に置かれてしまった。試合が終わったあとの記録を、勝ったチームが書いてるようなイメージに近いよ!
本を読む前に人物像をざっと押さえておきたい人は、生涯と功績をまとめた小栗忠順の解説記事もあわせてどうぞ。

小栗は教科書の記述が薄いぶん、本を1冊読むだけで一気に世界が広がるタイプの人物なんだ。ここからは目的別に、全部で7冊を紹介していくよ!
小説でドラマチックに読む
小栗忠順を初めて本で読むなら、小説から入るのがいちばん挫折しにくい方法です。史料が残っていない空白の部分を作家が想像で埋めてくれるので、人物の迷いや怒りが物語としてそのまま流れ込んできます。
とくに小栗のように「なぜ主戦論にこだわり続けたのか」が最大の争点になる人物は、心情の描写があるかないかで理解のしやすさが大きく変わります。ここでは、小栗の生涯を通して追える長編を紹介します。

でも小説って作家さんの創作でしょう? 大河の予習として読んでも意味あるのかしら。

意味あるよ! 小説は「事実の骨組み+作家の解釈」でできてるんだ。骨組みのほうは評伝と同じ史料から取っていることが多いから、まず小説で流れを掴んで、気になったところを評伝で確かめる——この順番がいちばんラクなんだよね。
2009年に角川文庫として刊行された歴史小説です。史料が残っていない空白の部分に、作家・佐藤雅美が想像で肉付けし、小栗の覚悟と苦悩を物語として描いています。若き日から処刑に至る最後の日々までを、一代記として通して追える1冊です。
小栗の内面の葛藤や覚悟を、物語としてじっくり味わいたい人。
史実と創作の境目を厳密に確かめながら読みたい人(小説的な脚色を含みます)。
2025年8月に集英社文庫から刊行された上下巻の長編小説の上巻です。ペリー来航後の危機感から、遣米使節としてアメリカへ渡り西洋文明を目の当たりにするまでを、幕府の実務官僚としての小栗の視点から丁寧に描いています。帰国後の横須賀製鉄所建設や兵庫商社の設立は、下巻に収録されています。
近代化の実務家としての小栗の仕事を、具体的なエピソードとともに知りたい人。
1冊で短時間に読み切りたい人(上下巻構成の長編です)。
評伝でしっかり深く知る
物語ではなく、確かめられた事実の側から小栗忠順を知りたい人には評伝が向いています。評伝は残された史料と研究を突き合わせて書かれるため、「どこまでが確実で、どこからが推測なのか」の線引きがはっきりしているからです。
小栗の場合、地元の群馬で長く史料の発掘と保存にあたってきた書き手による評伝があるのが強みです。ここでは、最初の1冊に向く入門的な評伝と、さらに踏み込みたい人向けの1冊を紹介します。

評伝って分厚くて難しそうなイメージなんだけど、歴史にくわしくなくても読めるのかな?

新書サイズの評伝なら大丈夫だよ。1冊で小栗の生涯と功績がひととおり分かるようになってる。レポートや発表で「根拠はこの本です」と言えるものを1冊持っておくと、それだけで説得力が変わるんだ。
2010年12月に平凡社新書として刊行された評伝です。地元・群馬で長く小栗関連の史料発掘と保存にあたってきた著者が、生涯と業績を新書1冊のボリュームでまとめています。最初の1冊として最もバランスが取れており、本記事でも迷ったらまずこの1冊としておすすめしています。
初めて小栗を知る人。レポートや発表で根拠にできる1冊が欲しい人。
すでに概要を把握していて、より専門的な記述を求めている人。
2008年8月に筑摩書房のちくま文庫として刊行された評伝です。著者の星亮一は幕末維新期を数多く手がけてきた歴史作家です。小栗本人の生涯だけでなく、処刑後に遺族がたどった道のりまで筆を広げている点が特徴で、平凡社新書を読んだあとにさらに深掘りしたい人に向いています。
小栗本人だけでなく、遺された家族のその後にも関心がある人。
これから初めて小栗を知る人(先に入門的な評伝を読むのがおすすめです)。
別の視点・異説から知る
小栗忠順の評価は、いまも定まりきっていません。戊辰戦争のさなかに、正式な裁判の手続きもないまま処刑された——この事実をどう受け止めるかで、小栗像は大きく変わります。
ここで紹介するのは、いずれも通説とは違う角度から小栗の死と明治維新を問い直した本です。ただし、その主張のすべてが歴史学の世界で共有されているわけではありません。「これは一つの立場からの主張だ」と意識しながら読むと、かえって面白く読めます。

この手の本は刺激的で面白いんだけど、書いてあることを全部そのまま事実として受け取るのは危ないんだ。通説と違う主張に出会ったら、さっきの評伝と読み比べてみてね。そのズレ自体が、歴史のいちばん面白いところだから!
小学館文庫として刊行されている、原田伊織による本です。著者は「明治維新の主役は薩長ではなく、小栗ら幕臣官僚だった」という立場から、幕末の近代化を再構成しています。ただし著者は明治維新そのものを否定的に描く著作を他にも著しており、この本の歴史観は学術的な評価が定まった通説ではなく、一つの立場からの主張である点に注意が必要です。
通説とは違う刺激的な歴史観に触れ、自分の頭で考える材料にしたい人。
学術的な評価が定まった通説だけを知りたい人。まだ小栗の基本的な事績を押さえていない人(先に評伝を読むことをおすすめします)。
2025年10月に河出文庫として新たに刊行された評伝です。ただし著者の蜷川新(1873〜1959年)は1959年に亡くなっているため、中身そのものは戦前から戦後にかけて書かれた古い時代の文章です。蜷川は、小栗の妻の妹を母に持つ義理の甥にあたる法学者です。小栗の死後に生まれた世代なので処刑を直接見たわけではありませんが、身内に伝わった話をもとに、処刑の不当性を強く訴える立場から本書を著しました。近い立場から書かれた熱のこもった記録である一方、客観的な第三者による評伝とは性格が異なる点をふまえて読む必要があります。
身内という近い立場から書かれた、熱のこもった記録に触れたい人。
客観的・中立的な立場から書かれた評伝を先に読みたい人。
勝海舟との対比・大河の時代背景を知る
鳥羽・伏見の戦いに敗れた慶喜が江戸へ戻った1868年(慶応4年)の正月、幕府の中では二つの意見が正面からぶつかりました。箱根に攻め込んできた新政府軍を陸から迎え撃ち、同時に艦隊を駿河湾へ送って補給を断つべきだという小栗の主戦論と、江戸の町を戦火から守るために戦わずに降るべきだという勝海舟の恭順論です。
慶喜は小栗の策を退けて勝の主張を採り、小栗は正月のうちに罷免されて歴史の表舞台から降ろされます。残った恭順路線は、同年4月の江戸城無血開城として実を結びました。2027年の大河でも、勝海舟は小栗のライバルであり理解者でもある存在として描かれると報じられています。

意見が正反対だったってことは、二人は仲が悪かったのかしら?

単純な敵同士ではなかったみたいなんだ。勝はのちに小栗を「幕末の一人物」と呼んで、精力も計略も人より優れていたと語り残しているよ。そのすぐあとに「度量が狭かったのは惜しかった」とも言ってるから、手放しの称賛ではないんだけどね。能力は高く買いつつ考え方は認めない——そういう複雑な関係として描かれることが多いんだ。
2018年に刊行された、小栗と勝海舟を主戦論・恭順論という対立軸から並べて描く1冊です。薩長側から見た幕末を描く作品が多いなかで、あくまで幕府サイドの視点にこだわって書かれている点が特徴です。2027年の大河ドラマで描かれる二人の関係を、事前に整理しておきたい人に向いています。
小栗と勝海舟、二人の対立をセットで理解し、大河ドラマの見どころを予習したい人。
どちらか一方の人物だけを深く掘り下げて知りたい人(対比形式のため単独評伝ほどの深さはありません)。
まとめ
ここまで、小栗忠順を知るための本を目的別に紹介してきました。迷ったら、まずは平凡社新書の『小栗上野介』(村上泰賢)から入るのが確実です。新書1冊ぶんの分量で生涯と功績をひととおり押さえられるので、大河ドラマの予習としても十分に機能します。
そのうえで、物語として一気に読みたいなら小説、通説とは違う見方に触れたいなら異説系、勝海舟との対立軸から幕末を捉え直したいなら対比の本、と広げていくのがおすすめです。下の比較表に、難易度と向いている人をまとめました。Kindle Unlimited・Audibleの対象可否は今回確認が取れなかったため、表では「-」としています。
横にスクロールできます
| 📚 タイトル | 難易度 | Kindle Unlimited | Audible | こんな人向け |
|---|---|---|---|---|
| ①覚悟の人 小栗上野介忠順伝(佐藤雅美) Amazon楽天 |
●○○ 初心者 | - | - | 物語として心情をじっくり味わいたい人 |
| ②小説 小栗上野介 日本の近代化を仕掛けた男(上)(童門冬二) Amazon楽天 |
●○○ 初心者 | - | - | 実務官僚としての小栗の仕事を追いたい人 |
| ③小栗上野介-忘れられた悲劇の幕臣(村上泰賢) Amazon楽天 |
●○○ 初心者 | - | - | 最初の1冊にしたい人(迷ったらコレ) |
| ④最後の幕臣小栗上野介(星亮一) Amazon楽天 |
●●○ 中級 | - | - | 入門書のあとにもう一歩踏み込みたい人 |
| ⑤小栗上野介抹殺と消された「徳川近代」(原田伊織) Amazon楽天 |
●●○ 中級 | - | - | 通説と違う視点に触れたい人(賛否あり) |
| ⑥小栗上野介 殺された幕末改革の旗手(蜷川新) Amazon楽天 |
●●● 上級 | - | - | 身内が遺した記録に触れたい人 |
| ⑦小栗上野介(主戦派)VS勝海舟(恭順派)(島添芳実) Amazon楽天 |
●●○ 中級 | - | - | 小栗と勝海舟を対比して理解したい人 |
✓=対象、✕=対象外、△=時期により変動、-=2026年8月時点で対象可否を確認できなかったもの。最新の対象状況は各商品ページでご確認ください。

以上、小栗忠順(小栗上野介)のおすすめ本7選でした。もう一度だけ言うと、迷ったら平凡社新書の『小栗上野介』。ここから入って、合いそうなら小説や異説系に広げていくのがオススメだよ。Audibleなら通勤や移動中に耳で聴けるし、Kindle Unlimitedの対象になっている本なら追加料金なしで読める。どちらも体験期間があるから、まずは1冊試してみてね。下の記事もあわせてどうぞ!
コトバンク「小栗忠順」(デジタル大辞泉・日本大百科全書ほか/2026年8月確認)
Wikipedia日本語版「小栗忠順」「蜷川新」「逆賊の幕臣」(2026年8月確認)
国立国会図書館サーチ・openBD(紹介書籍の書誌情報/2026年8月確認)
平凡社・集英社・小学館・河出書房新社の各書籍公式ページ(2026年8月確認)
高崎市公式サイト「大河ドラマ『逆賊の幕臣』の主人公 小栗上野介忠順」(2026年8月確認)
2027年大河ドラマ『逆賊の幕臣』に関する各社報道(スポーツニッポン・シネマトゥデイ・ステラnet等/2026年8月確認)
記事の誤りを発見された場合はお問い合わせください。確認後、修正します。





