国際連合とは?国際連盟との違いや安全保障理事会の仕組みをわかりやすく解説

国際連合
この記事の目次 22項目はじめに
  1. 国際連合とは?3行でわかる基本情報
  2. 国際連盟と国際連合の違いをわかりやすく比較
  3. 国連の主要機関をわかりやすく解説——6つの機関
    1. 総会:全加盟国が参加する「国連の国会」
    2. 安全保障理事会:世界の平和を決める最重要機関
    3. 事務局・国際司法裁判所・経済社会理事会
  4. 安全保障理事会の仕組みと常任理事国の拒否権
    1. 常任理事国5か国(P5)とは——「戦勝国クラブ」の正体
    2. 拒否権とは?「賛成」と「反対・棄権」の違い
  5. 日本と国際連合の歩み——連盟脱退から1956年加盟まで
    1. 国際連盟からの脱退(1933年)
    2. 敗戦と「敵国条項」——なぜすぐに加盟できなかったか
    3. 1956年12月、国際連合加盟——80か国目の新メンバー
    4. 現在の日本と国連——PKOと常任理事国入りの議論
  6. 国連の課題——なぜ機能しないのか?安保理改革の現実
    1. 拒否権の機能不全——ウクライナ侵攻の事例
    2. 安保理改革——変えられない理由
    3. それでも国連が必要な理由
  7. テストに出るポイント
  8. 国際連合の理解を深めるおすすめ本
  9. よくある質問(FAQ)
  10. まとめ:国際連合は「不完全だが不可欠」な組織

もぐたろう
もぐたろう

今回は国際連合(国連)について、わかりやすく丁寧に解説していくよ!国際連盟との違い・安全保障理事会の仕組み・常任理事国の拒否権まで、テスト前に知りたいポイントを全部まとめたよ!

この記事のレベル:高校公共 / 政治経済
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この記事を読んでわかること
  • 国際連合とは何か(設立年・本部・加盟国数の基本情報)
  • 国際連盟との違い(失敗の原因と国連での改善点)
  • 安全保障理事会と常任理事国5か国(拒否権の仕組みを身近な例えで)
  • 国連の主要機関6つ(総会・安保理・事務局など)
  • 日本と国連の歩み(連盟脱退→1956年加盟の日本史連動)
  • 現代の課題(なぜ国連はウクライナ侵攻を止められないのか)

実は国際連合は、「世界の平和を守る組織」と思われがちですが、常任理事国1か国でも反対すれば何も決められないという根本的な欠陥を抱えた組織です。2022年にロシアがウクライナに侵攻しても国連が有効な対応をとれなかったのも、まさにこの仕組みが原因です。

それでも世界193か国が国連に頼らざるをえないのは、なぜなのでしょうか。この記事では、国連の基本から最新の課題まで、中高生にもわかりやすく解説します。

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国際連合とは?3行でわかる基本情報

国際連合を3行でまとめると
  • 1945年に設立された、世界最大の国際機関。本部はアメリカのニューヨーク
  • 193か国が加盟し、平和の維持・人権保護・経済開発などを目的とする
  • 最重要機関は安全保障理事会。常任理事国5か国の拒否権きょひけんが最大の特徴

国際連合(英語名:United Nations、略称:UN)は、1945年10月24日に設立された国際機関です。設立のきっかけは、第二次世界大戦という人類史上最大の悲劇でした。「二度と戦争を繰り返さない」という決意のもと、51か国が国連憲章に署名して発足しました。

本部はアメリカのニューヨーク市マンハッタンに置かれています。現在の加盟国数は193か国(2024年時点)で、世界に約195〜200か国あることを考えると、ほぼ全世界が参加しているといえます。設立時の51か国から、戦後の独立国家増加や冷戦終結を経て大幅に拡大しました。

フランクリン・ルーズベルト
フランクリン・ルーズベルト

前の大戦の失敗を繰り返してはならない。今度こそ、大国が全員参加して世界の平和を守る仕組みを作ろう。

国連の設立を構想した中心人物が、アメリカ第32代大統領・フランクリン・ルーズベルトです。彼は1941年の大西洋憲章でイギリスのチャーチルと戦後世界の設計図を描き、「大国が協調して平和を維持する」という国連の基本理念を提唱しました。残念ながらルーズベルトは国連発足(1945年10月)を見届けることなく、同年4月に急逝しています。

国連の目的は国連憲章に定められており、主に①国際平和と安全の維持、②国家間の友好関係の発展、③経済・社会・文化・人道的問題における国際協力、の3点です。この目的を果たすために、6つの主要機関が設けられています。次の章では国際連盟との違いを確認してから、主要機関を詳しく見ていきましょう。

ゆうき
ゆうき

国際連合って、どこにあって、何か国が入ってるの?

もぐたろう
もぐたろう

本部はアメリカのニューヨーク!加盟国は193か国で、ほぼ全世界が参加してるんだよ。世界に約195〜200か国あるから、ほとんど全部ってこと!ちなみに10月24日は「国連の日」として制定されているよ。

フランクリン・ルーズベルト(1933年)国際連合の構想者
フランクリン・ルーズベルト(1933年)国連設立を構想したアメリカ第32代大統領 出典:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

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国際連盟と国際連合の違いをわかりやすく比較

国際連合を理解するうえで欠かせないのが、その前身である国際連盟との比較です。国際連盟は1920年に設立された世界初の国際平和機関でしたが、わずか26年で解散に追い込まれました。なぜ失敗したのか、国連はその反省をどう活かしたのかを見ていきましょう。

あゆみ
あゆみ

国際連盟も同じような平和機関だったよね?なぜ失敗してしまったの?

もぐたろう
もぐたろう

一番の問題は「全会一致制」と「米国不参加」のダブルパンチだったんだ!1か国でも反対すれば何も決められない+世界最強のアメリカが入っていない、これじゃ機能しないよね。国連はその反省を踏まえて設計されたんだよ。

比較項目国際連盟(1920年〜)国際連合(1945年〜)
設立年1920年1945年
設立のきっかけ第一次世界大戦(1914〜1918年)第二次世界大戦(1939〜1945年)
アメリカの参加不参加(上院が批准を否決)参加・常任理事国の中心
意思決定方式全会一致(1か国でも反対→不成立)多数決制(安保理は拒否権あり)
軍事力なし(経済制裁のみ)PKO・多国籍軍(安保理決議で派遣可)
日本の参加常任理事国→1933年脱退1956年加盟・現在も参加中
現在の状況1946年解散現在も活動中(193か国)

国際連盟の最大の弱点は2つありました。第一に、アメリカが参加しなかったことです。提唱者はアメリカのウィルソン大統領でしたが、皮肉なことにアメリカ国内の議会(上院)が批准を否決し、自国の大統領が作った機関に自国が入れないという事態になりました。

第二に、意思決定に全会一致が必要だったことです。これにより、日本の満州への侵攻(1931年)に対しても有効な対応がとれず、1933年に日本が脱退するという事態を招きました。同様にドイツ・イタリアも脱退し、第二次世界大戦の勃発を止めることができませんでした。

国連はこの反省を踏まえ、アメリカをはじめ主要大国が全員参加する体制を整えました。また意思決定は多数決制を採用しつつ、重要案件は拒否権を持つ常任理事国が責任を持つという仕組みにしました。この「連盟vs連合」の比較は、試験でも頻出のポイントです。

📌 テスト頻出:国際連盟(1920年・全会一致・米不参加・1946年解散)と国際連合(1945年・多数決・米参加・193か国)の3点セット(設立年・意思決定方式・米国参加の有無)を対比で覚えよう。

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国連の主要機関をわかりやすく解説——6つの機関

国連憲章は6つの「主要機関」を定めています。それぞれが役割を分担して、国連全体の目的を達成する仕組みになっています。まずは全体像をつかんでから、各機関を見ていきましょう。

国連の6つの主要機関:①総会 ②安全保障理事会 ③事務局 ④国際司法裁判所 ⑤経済社会理事会 ⑥信託統治理事会

総会:全加盟国が参加する「国連の国会」

総会そうかいは、193か国すべての加盟国が参加する機関で、「国連の国会」とも呼ばれます。最大の特徴は「1国1票」の原則です。アメリカのような大国もバヌアツのような小国も、まったく同じ1票を持っています。

ただし、総会の決議には法的拘束力がないという大きな限界があります。つまり「世界中の国が賛成した」という意思表示はできますが、それを各国に強制する力はありません。重要問題(平和・安全、加盟国の加入など)は3分の2以上の多数決、一般問題は過半数で決定します。毎年9月〜12月に通常総会が開催されます。

安全保障理事会:世界の平和を決める最重要機関

安全保障理事会あんぜんほしょうりじかい(安保理)は、国連の中で唯一、加盟国を法的に拘束できる決議を出せる機関です。15か国で構成され、常任理事国5か国(アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国)と、2年任期で選出される非常任理事国10か国からなります。

安保理が重要案件(平和への脅威など「実質事項」)を決定するには、15か国中9か国以上の賛成と、常任理事国が1か国も反対しないことが必要です。国連憲章第27条は常任理事国の同意を含むと定めていますが、実際の運用では常任理事国の棄権は拒否権にならず、賛成が9票以上あれば採択できます。手続事項は9か国以上の賛成で決まり、拒否権は適用されません。

事務局・国際司法裁判所・経済社会理事会

事務局は、国連の日常業務を担う行政機関です。トップは事務総長じむそうちょうで、現在はアントニオ・グテーレス氏(ポルトガル出身)が務めています。事務総長は世界の平和問題について発言できる強い発信力を持ちますが、直接行動する権限は限られます。

国際司法裁判所こくさいしほうさいばんしょ(ICJ)は、オランダのハーグに置かれる国連の司法機関です。国家間の法的紛争を裁判で解決します。ただし、国家が同意しないと管轄権がないため、強制的に裁くことはできません。

経済社会理事会けいざいしゃかいりじかい(ECOSOC)は、経済・社会・環境分野の活動を調整する機関です。UNESCO(国連教育科学文化機関)・WHO(世界保健機関)・UNICEF(国連児童基金)などの専門機関・補助機関を統括する役割を担っています。信託統治理事会しんたくとうちりじかいは、かつての植民地・信託統治地域の独立を支援するために設けられましたが、1994年に最後の信託統治地域(パラオ)が独立したため、現在は活動を停止しています。

もぐたろう
もぐたろう

国連の機関を日本に例えると…総会は「国会」(全員参加するけど決定に時間がかかる)、安保理は「内閣」(少人数で素早く動ける・強い権限)、事務局は「官僚組織」(日常業務を回す)ってイメージ!ただし安保理の実質事項は「9か国以上が賛成しても、常任理事国が1か国でも反対すると採択できない」という制約があるんだ。棄権は反対とは別で、拒否権にはならないよ。

安全保障理事会の仕組みと常任理事国の拒否権

「国際連合 安全保障理事会 仕組み」「常任理事国 拒否権」は試験でも頻出のテーマです。安保理は国連の中で最も強い権限を持つ機関ですが、同時にその機能不全が最も問題視されている機関でもあります。

常任理事国5か国(P5)とは——「戦勝国クラブ」の正体

安保理の常任理事国は、アメリカ・イギリス・フランス・ロシア(当初はソ連)・中国の5か国です。英語で “Permanent Five”(永続する5か国)、略して「P5」とも呼ばれます。

なぜこの5か国だけが常任理事国なのでしょうか。答えは単純で、1945年当時の第二次世界大戦の主要戦勝国だからです。国連設立時に圧倒的な軍事力・政治力を持っていたこれら5か国が、自国の影響力を維持するために永続的な特権席を確保したのです。

もぐたろう
もぐたろう

常任理事国は言ってみれば「第二次大戦の戦勝国クラブ」なんだよ。1945年時点の強国が永久席を持っている構造で、今の国力とは必ずしも一致しない。日本・ドイツ・インドはGDPで上位なのに常任理事国じゃない、という現実がその矛盾を示してるよ。

拒否権とは?「賛成」と「反対・棄権」の違い

安保理が実質的な問題(戦争・制裁など)を決定するには、15か国中9か国以上の賛成があり、常任理事国が1か国も反対票を投じないことが必要です。常任理事国が棄権しても、賛成が9票以上なら採択できます。

この「常任理事国が反対しない」という要件が「拒否権」の本質です。常任理事国が1か国でも「反対」の票を投じると、残りの14か国全員が賛成していても決議が成立しません。常任理事国が1か国でも「いや」と言えば終わり——これが拒否権です。

ゆうき
ゆうき

なんで5か国だけが拒否権を持ってるの?安保理の残り14か国が全部賛成しても、常任理事国1か国の反対で否決されるなんて、不公平すぎない?

もぐたろう
もぐたろう

15か国の会議で、常任理事国5か国だけが「反対すると止められる特別な票」を持っているイメージだよ。「棄権する」と「反対する」は違うんだ。たとえば常任理事国1か国が棄権し、ほかの14か国が賛成なら採択できる。でも、その1か国が反対票を投じると採択できない。大国が参加し続けるための仕組みだけど、大国同士の対立で決議が止まる原因にもなるんだよ。

📌 拒否権の使用例:冷戦期(1947〜1991年)はアメリカとソ連が頻繁に拒否権を行使し合い、安保理はほぼ機能不全状態でした。2022年のロシアのウクライナ侵攻に際しても、ロシア自身が常任理事国のため制裁決議にロシアが拒否権を使い、安保理では対応できませんでした。

拒否権はなぜ設けられたのでしょうか。国連設立時の考え方は「大国が協調してこそ平和が保たれる」というものでした。大国が反対するような決議を強引に通しても、実際には大国が従わなければ意味がない——だから大国には拒否権を与え、大国が全員参加できる仕組みにしたのです。この設計は「大国間の協調があれば機能する」という前提に立っていましたが、米ソ冷戦やロシアのウクライナ侵攻のように大国が対立すると、その前提が崩れることになります。

日本と国際連合の歩み——連盟脱退から1956年加盟まで

日本と国際機関の関係は、波乱万丈の歴史をたどっています。第一次世界大戦後には国際連盟の常任理事国として出発しながら、わずか13年で脱退。そして第二次世界大戦での敗戦を経て、戦後の国際社会への復帰を果たす道筋が国連加盟だったのです。

国際連盟からの脱退(1933年)

日本は国際連盟の設立時(1920年)から常任理事国として参加していました。しかし1931年に関東軍が中国東北部(満州)を占領した「満州事変」が転換点になります。

国際連盟はリットン調査団を派遣し、1932年に「日本の行動は自衛ではない」と認定する報告書を提出しました。1933年2月、国際連盟総会でリットン報告書の採択の採決が行われます。賛成42か国・反対1か国(日本)・棄権1か国(シャム)という圧倒的な差で採択されました。

全会一致制ではないものの、孤立を深めた日本の松岡洋右まつおかようすけ首席全権は退場を宣言し、日本は1933年3月に脱退を通告しました。ドイツも1933年に脱退を表明し(正式な加盟終了は1935年)、イタリアも1937年に脱退を表明して、国際連盟は大国なしの組織として形骸化していきます。

敗戦と「敵国条項」——なぜすぐに加盟できなかったか

1945年に第二次世界大戦で敗戦した日本は、当初は国連に加盟できませんでした。その理由の一つが「敵国条項てきこくじょうこう」です。国連憲章第53・107条には、第二次世界大戦中に連合国の敵国だった国(日本・ドイツなど)に対しては、通常の手続きを経ずに軍事的措置をとれるという規定がありました。

さらに実際の加盟を阻んだのが、ソ連の拒否権でした。日本は1952年の主権回復後から国連加盟を申請しましたが、冷戦下でアメリカと対立していたソ連が繰り返し拒否権を行使し、加盟が認められない状態が続いていたのです。

あゆみ
あゆみ

国際連盟を脱退して、戦争まで起こした日本が、なぜ国際連合に加盟できたの?

もぐたろう
もぐたろう

カギは1956年の日ソ共同宣言!それまでソ連が日本の加盟に拒否権を使っていたんだ。1956年10月に日本とソ連が国交を正常化する日ソ共同宣言を締結したことで、ソ連が拒否権を使わなくなった。そして同年12月18日、日本は晴れて国連加盟を実現したんだよ。まさに「拒否権がいかに強力か」を日本自身が体験したわけだね。

1956年12月、国際連合加盟——80か国目の新メンバー

1956年12月18日、日本は第80番目の加盟国として国連に加盟しました。当時の外務大臣・重光葵(しげみつまもる)が国連総会で演説し、国際社会への本格復帰を宣言しました。加盟が認められた瞬間、会場は拍手に包まれたと伝えられています。

国連加盟は、1951年のサンフランシスコ平和条約・1956年の日ソ共同宣言と並ぶ、戦後日本の外交における重要な節目となりました。この年、日本政府は「もはや戦後ではない」と宣言した経済白書を発表しており、経済と外交の両面で国際社会への復帰が実現した歴史的な年だったのです。

重光葵(しげみつまもる)外務大臣・1956年国連加盟時
重光葵(外務大臣)1956年の国連加盟時に演説。戦後日本の国際社会復帰を宣言した 出典:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

現在の日本と国連——PKOと常任理事国入りの議論

日本は国連加盟後、非常任理事国として12回(2023年時点)選出されており、世界最多記録を持っています。また1992年にはPKO協力法(国連平和維持活動等に対する協力に関する法律)が成立し、カンボジアへの自衛隊派遣(UNTAC)を皮切りにPKO活動へも参加しています。

一方、日本は長年にわたり常任理事国入りを目指してきました。2005年にはドイツ・インド・ブラジルと共同で「G4案」を提唱しましたが、中国・韓国の反対や常任理事国の支持が得られず、実現していません。国連憲章の改正には常任理事国全員の賛成が必要なため、常任理事国を増やす改革は構造的に極めて困難な状況が続いています。

📌 テスト頻出:日本の国連加盟は1956年12月。同年10月の日ソ共同宣言によってソ連との国交が正常化し、ソ連が拒否権を行使しなくなったことが直接の原因。「国連加盟=日ソ共同宣言とセット」で覚えよう。

国連の課題——なぜ機能しないのか?安保理改革の現実

国際連合は「世界の平和を守る組織」として設立されましたが、現実には機能しない場面が繰り返し起きています。冷戦期にはアメリカとソ連が対立して安保理が麻痺し、2022年のロシアによるウクライナ侵攻では、侵略当事国が常任理事国であるという根本矛盾が白日の下にさらされました。なぜ国連は戦争を止められないのか——その構造的な問題を読み解いていきます。

拒否権の機能不全——ウクライナ侵攻の事例

2022年2月、ロシアがウクライナに軍事侵攻しました。国際社会は安全保障理事会に制裁決議を求めましたが、当のロシアが常任理事国であるため、自国への非難決議には拒否権を行使できます。実際にロシアは即座に拒否権を発動し、安保理での決議は不成立となりました。

その後、国連は緊急特別総会きんきゅうとくべつそうかいを招集し、圧倒的多数でロシアへの非難決議を採択しました。総会決議には拘束力がありませんが、国際社会がロシアの行動を「侵略」と認定したことの政治的意義は大きいといえます。

あゆみ
あゆみ

ロシアがウクライナに侵攻しても国連が止められないのはなぜ?国連って意味あるの?

もぐたろう
もぐたろう

ロシア自身が常任理事国だから、自国への制裁決議には拒否権を使えるんだ。「侵略している側が裁判所の判事も兼ねている」ような構造なんだよね。だから安保理では止められない。それが国連の最大の欠陥なんだ。

📌 拒否権の使用例:冷戦期(1945〜1991年)、ソ連は安保理で100回以上の拒否権を行使。アメリカも中東・中南米問題で拒否権を使い続けた。拒否権は「世界の警察」が互いに相手の行動を封じ合う道具にもなっている。

安保理改革——変えられない理由

「安保理を改革して、より公平な組織にすべきだ」という声は長年あがっています。具体的には、日本・ドイツ・インド・ブラジルの4か国(G4)が常任理事国入りを求めて働きかけを続けてきました。しかし現実には改革がほぼ進んでいません。

その理由は単純です。国連憲章の改正には、全常任理事国の賛成が必要なのです。つまり自分たちの特権を廃止・縮小する改革には、当の常任理事国たちが同意しない——構造的な矛盾があります。

安保理改革が進まない根本的な矛盾:改革するには常任理事国全員の賛成が必要 → 常任理事国は自分の特権を手放さない → 改革できない

それでも国連が必要な理由

では、国連に意味はないのでしょうか。決してそうではありません。国連は安保理の機能不全という問題を抱えながらも、人道支援・開発援助・国際規範の形成・対話の場として依然として重要な役割を果たしています。

世界食糧計画(WFP)・国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)・国連児童基金(UNICEF)など多くの専門機関が、紛争地域への食料・医療・教育支援を続けています。また、SDGs(持続可能な開発目標)のように、国際社会が同じ目標に向かって取り組む枠組みを提供しているのも国連の役割です。

あゆみ
あゆみ

安保理は機能不全でも、国連全体はまだ活動してるってこと?

もぐたろう
もぐたろう

そう!安保理(軍事・制裁)は機能不全でも、WFP・UNHCR・UNICEFなど専門機関の人道支援活動は続いてる。「軍事的な警察機能」は弱くても「対話・支援の場」としての価値は今も大きいんだよ。だから「不完全だけど不可欠」な組織って言われているんだ。

テストに出るポイント

ここからは定期テスト・共通テスト・大学受験で押さえておきたいポイントをまとめます。試験直前の見直しにも使ってください。

テストに出やすいポイント
  • 国際連合設立年(1945年):第二次世界大戦終結と同年。本部はニューヨーク。「国連の日」は10月24日
  • 国際連盟との違い3点セット:①設立年(1920年 vs 1945年)②アメリカの参加有無(不参加→参加)③意思決定方式(全会一致→多数決)
  • 常任理事国P5の5か国:アメリカ・イギリス・フランス・ロシア・中国(第二次世界大戦の戦勝国)
  • 拒否権の仕組み:実質事項は9か国以上の賛成と常任理事国の反対がないことが必要。常任理事国の棄権は拒否権ではない(手続事項には拒否権なし)
  • 日本の国連加盟(1956年12月):日ソ共同宣言(同年10月)でソ連が拒否権を行使せず→加盟実現
  • PKO(国連平和維持活動):日本は1992年のPKO協力法成立後、カンボジア(UNTAC)に自衛隊を派遣

📌 暗記のコツ:国際連盟(1920年・全会一致・米不参加)と国際連合(1945年・多数決・米参加)を対比で覚える。常任理事国5か国は「米英仏露中」。日本の加盟は1956年・日ソ共同宣言とセットで覚えよう。

比較項目国際連盟国際連合
設立年1920年1945年
アメリカの参加不参加(議会が否決)参加・常任理事国
意思決定方式全会一致多数決(安保理は拒否権あり)
軍事力なしPKO・多国籍軍(安保理決議)
加盟国最大58か国193か国(現在)
現在の状況1946年解散現在も活動中

ゆうき
ゆうき

テストで一番大事なのはどこ?

もぐたろう
もぐたろう

「国際連盟との違い3点セット」と「常任理事国5か国+拒否権」は必ず出るよ!日本の加盟1956年+日ソ共同宣言もセットで覚えておいて!比較表はそのまま丸ごと暗記しておくと万全だよ。

国際連合の理解を深めるおすすめ本

もぐたろう
もぐたろう

国際連合についてもっと深く学びたい人に、おすすめの本を2冊紹介するよ!どちらも専門家が書いた信頼できる入門書だから、この記事の次のステップとしてぜひ読んでみてね!

①国連の全体像をサクッとつかみたいなら|最新刊の決定版入門書

②機関の仕組みと歴史を体系的に理解したいなら|大学・社会人の深掘りに

国際連合 その役割と機能

植木安弘 著|日本評論社

よくある質問(FAQ)

国際連合(United Nations・略称UN)は、1945年10月に設立された世界最大の国際機関です。第二次世界大戦の反省をもとに、国際平和の維持・友好関係の発展・人権の保護・経済的・社会的問題の解決を目的として設立されました。本部はアメリカのニューヨークにあり、2024年時点で193か国が加盟しています。

主な違いは3点です。①設立年:国際連盟は1920年、国際連合は1945年。②アメリカの参加有無:連盟にはアメリカが不参加(議会が批准否決)でしたが、国連にはアメリカが参加し常任理事国になっています。③意思決定方式:連盟は全会一致が原則でしたが、国連総会は多数決制です(安保理は拒否権あり)。国連は連盟の失敗の教訓を取り入れて設計されました。

安全保障理事会の実質事項(平和・安全に関する決議)には、15か国中9か国以上の賛成と、常任理事国の反対がないことが必要です。常任理事国が1か国でも反対票を投じると、残り14か国が賛成していても採択できません。これが拒否権です。常任理事国の棄権は拒否権にならず、賛成が9票以上あれば採択できます。手続事項は9か国以上の賛成で決まり、拒否権はありません。

侵略当事国であるロシアが安保理の常任理事国であるため、自国への非難・制裁決議には拒否権を行使できるからです。「侵略している側が裁判所の判事も兼ねている」構造です。国連は2022年の緊急特別総会でロシアへの非難決議を採択しましたが、総会決議には法的拘束力がなく、実際の軍事行動を止める手段はありません。これは国連設立時から指摘されている拒否権制度の根本的な欠陥です。

1956年12月18日に、日本は国連への正式加盟が承認されました。それまでソ連が日本の加盟に拒否権を行使し続けていましたが、同年10月の日ソ共同宣言によってソ連との国交が正常化し、ソ連が拒否権を行使しなくなったことで加盟が実現しました。国連加盟は戦後日本の国際社会への本格復帰を象徴する出来事です。

SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連サミットで採択された国際目標です。「2030年までに達成すべき17の目標・169のターゲット」からなり、貧困・飢餓・気候変動・ジェンダー平等など地球規模の課題に全加盟国が協力して取り組む枠組みです。軍事的な意思決定が停滞しがちな安保理とは異なり、SDGsは国連の「共通目標を設定・共有する機能」の代表例といえます。

まとめ:国際連合は「不完全だが不可欠」な組織

国際連合・関連年表
  • 1920年
    国際連盟 設立
    アメリカは議会の反対で不参加。全会一致制が機能不全の原因となる
  • 1931年
    満州事変・日本の立場が国際社会と対立
  • 1933年
    日本、国際連盟を脱退
    リットン調査団報告書を受けた勧告に反発して脱退
  • 1945年
    国際連合 設立(10月24日・国連の日)
    第二次世界大戦終結と同年。51か国が原加盟国
  • 1946年
    国際連盟 解散
    国連への機能移管にともない正式解散
  • 1956年
    日本、国連加盟(日ソ共同宣言と同年)
    同年10月の日ソ共同宣言でソ連の拒否権が解除され、12月に加盟実現
  • 1992年
    PKO協力法 成立・カンボジア(UNTAC)に自衛隊派遣
    日本の国際平和活動への本格参加が始まる
  • 2015年
    SDGs(持続可能な開発目標)を国連サミットで採択
    2030年を目標年次とする17の目標・169のターゲット
  • 2022年
    ロシアのウクライナ侵攻・安保理機能不全が露呈
    ロシアが拒否権を行使→緊急特別総会に移行。拒否権制度の限界が世界に示された

もぐたろう
もぐたろう

以上、国際連合のまとめでした!「不完全だけど不可欠」な組織の仕組みを理解できたかな。国際連盟との比較・拒否権の構造・日本の加盟1956年はテストでよく出るので、下の関連記事もあわせて読んでみてね!

📅 最終確認:2026年6月 / 参照:山川出版社『詳説政治・経済』(2022年版)

参考文献

Wikipedia日本語版「国際連合」(2026年6月確認)
Wikipedia日本語版「国際連盟」(2026年6月確認)
Wikipedia日本語版「安全保障理事会」(2026年6月確認)
コトバンク「国際連合」(デジタル大辞泉・日本大百科全書)
山川出版社『詳説政治・経済』
国際連合広報センター(加盟国数・機関情報、2026年6月確認)
国連安全保障理事会『Voting System』(実質事項・手続事項の表決と棄権、2026年10月確認)
国連ダグ・ハマーショルド図書館『UN Security Council Documentation: Voting Information』(表決要件と投票結果の事例、2026年10月確認)
国連ジュネーブ事務所『League of Nations: Chronology』『The League at Work』・国連条約集『League of Nations Treaty Series: Historical Information』(日独伊の脱退、2026年10月確認)

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