カースト制度とは?インドの身分制度の仕組み・歴史・現在をわかりやすく解説

特集 | 詳しく見る 2026年 NHK大河ドラマ「豊臣兄弟!」 登場人物まとめ

カースト制度をわかりやすく解説

もぐたろう
もぐたろう

今回はインドのカースト制度について、歴史・仕組み・ダリット・なぜ今も続くのかまで、わかりやすく丁寧に解説していくよ!テストにも国際ニュースにも役立つ内容だからしっかり読んでいってね!

📚 この記事のレベル:高校世界史
📖 山川出版社『詳説世界史』準拠
🎯 共通テスト・大学受験対応

この記事を読んでわかること
  • カースト制度の定義と仕組み
  • 4つの身分(ヴァルナ)それぞれの役割と覚え方
  • ダリット(不可触民)とはどういう存在か
  • カースト制度の歴史的な成り立ち
  • ヴァルナとジャーティの違い
  • 今もカースト制度が続く理由

インドの憲法は、1950年にカースト差別を明確に禁止しました。では、カースト制度は消えたのでしょうか?

実は、現在でも結婚・職業・日常生活の場でカーストは根強く残っており、「法律で禁止されているのに消えない」という矛盾が今なお深刻な社会問題になっています。インドの婚活サイトにはカーストを入力する欄があり、農村部では同じカースト同士でなければ結婚できないと考える人が多数います。いったいなぜ?この記事では、カースト制度の起源から現在まで、ひとつひとつ解きほぐしていきます。

スポンサーリンク

カースト制度とは?

3行でわかるカースト制度
  • カースト制度はインド発祥の身分制度で、生まれによって職業・結婚相手が固定される
  • 大きく4つの階級(ヴァルナ)+ヴァルナの外のダリット(不可触民)に分かれる
  • 1950年にインド憲法でカースト差別は禁止されたが、今も慣習・文化として根強く残っている

カースト制度とは、インドを中心に発達した身分制度で、人は生まれた瞬間に所属する階層(カースト)が決まり、職業・結婚相手・住む場所まで左右されるという特徴を持ちます。

「カースト」という言葉そのものは、インドの外から来た言葉です。インド人自身はこの制度を「ヴァルナ」「ジャーティ」と呼びます。「カースト」という言葉は16世紀に来航したポルトガル人がインドの身分制度に「カスタ(casta)」という言葉をあてたことに由来します。

「カースト」という言葉の語源は?

ポルトガル語の「カスタ(casta)」が由来で、「血統・純血」を意味する言葉です。16世紀にポルトガル人がインドに来航した際、インドの身分制度をこの言葉で表したのが始まりです。インド人自身は「ヴァルナ」「ジャーティ」と呼んでおり、「カースト」という外来語はヨーロッパ経由で世界に広まりました。

この制度がインドに根付いたのは、ヒンドゥー教の世界観と深く結びついているためです。「生まれたカーストでの役割を果たすことが、来世でより上位の生まれを得ることにつながる」という輪廻転生りんねてんせいの考え方が、長い歴史のなかでカースト制度に正当性を与え続けてきました。

ゆうき
ゆうき

カースト制度って、生まれた家によって仕事が決まっちゃうってこと?自分で選べないの?

もぐたろう
もぐたろう

そう、基本的には「生まれた瞬間に決まる」制度なんだ。職業・結婚相手・一緒に食事できる人まで制限されることもあったんだよ。現代でいうなら「生まれた家で一生のレールが敷かれる」イメージに近いかな。

スポンサーリンク

カースト制度の誕生と歴史

カースト制度はいつ、どのようにして生まれたのでしょうか。その歴史は約3,500年前まで遡ります。

■アーリヤ人の侵入とヴァルナの始まり

紀元前1500年ごろ、中央アジア方面からアーリヤ人が現在のインド・パキスタンにあたるインダス川流域に侵入してきました。アーリヤ人はすでにそこに暮らしていたドラヴィダ系の先住民族と接触するなかで、両者を区別するための仕組みを必要としました。

この区別から生まれたのがヴァルナ(「色」を意味するサンスクリット語)の概念です。アーリヤ人が優位な社会的地位を占め、先住民が下位に置かれるという構図が少しずつ形成されていきました。

■ヴェーダとマヌ法典で制度が固まる

紀元前1000年ごろになると、アーリヤ人の聖典であるヴェーダの文献にバラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラという4つのヴァルナが明記されるようになります。

さらに前2世紀〜後2世紀ごろにはマヌ法典が編纂されます。これは各ヴァルナの職業・日常の義務・禁止事項を細かく定めた法典で、「バラモンはどんな仕事をすべきか」「シュードラはどんな行為が禁じられるか」が詳しく書かれています。マヌ法典の登場により、カースト制度は宗教と法律の両面から正当化されました。

📌 余談:紀元前6世紀ごろ、カースト制度に正面から反対した人物がいました。釈迦(仏教の開祖)とヴァルダマーナ(ジャイナ教の開祖)です。釈迦はクシャトリヤ(武人・王族)の出身でしたが、「生まれではなく行いによって人の価値は決まる」と説きました。仏教・ジャイナ教はともにカースト制度を否定し、身分を問わず信者を受け入れました。

■イギリスの植民地支配で制度が固定化

19世紀、インドを植民地支配したイギリスは、統治をスムーズに行うためにインド人のカースト情報を戸籍に記録する政策をとりました。それまで地域ごとに曖昧だったカーストの区分が、文書として固定化されたのです。

皮肉なことに、「現代的な行政手段」としてカーストが記録されたことで、制度はますます揺るぎないものになりました。土地の所有権・税の徴収もカースト単位で管理されたため、カーストは経済的な問題とも切り離せなくなっていきます。

もぐたろう
もぐたろう

カースト制度の歴史は「アーリヤ人が持ち込んだ区別→ヴェーダで概念化→マヌ法典で法制化→イギリスが行政で固定化」という流れで深刻化してきたんだよ。外からの支配が制度を強化してしまうって、歴史の皮肉だよね。

スポンサーリンク

4つの身分「ヴァルナ」を見てみよう

カースト制度の根幹をなすのが4つのヴァルナです。上から順にバラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラとなっており、それぞれに固有の役割と職業が定められています。テストでは各ヴァルナの名称と職業の対応が頻出なので、しっかり押さえましょう。

■第1位:バラモン(司祭・学者)

バラモンはヴァルナのなかで最も上位に位置する聖職者・知識人の階級です。ヴェーダを学び、神への祭祀さいしを執り行い、社会の精神的権威を担います。「神と人をつなぐ存在」と位置づけられ、他のヴァルナに教えを説く役割も持ちました。

バラモンは宗教的な清潔さが求められるため、職業・食事・生活習慣に厳しいルールがありました。その権威の高さから、インドでは「婆羅門ばらもん」とも呼ばれるヒンドゥー教の前身の宗教が生まれています。

また、ヴェーダを学ぶ資格が認められていたのは、バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャという上位3つのヴァルナだけでした。彼らは少年期にウパナヤナと呼ばれる入門式を受けてはじめてヴェーダを学べるようになり、この儀式が「2度目の誕生」とみなされたことから、上位3ヴァルナはまとめて「二度生まれた者(ドヴィジャ)」と呼ばれます。

■第2位:クシャトリヤ(武士・王族)

クシャトリヤは王侯・武人・軍人にあたる階級で、社会の「守護者」として国を治め、戦争で国民を守る役割を担います。マウリヤ朝のアショーカ王やグプタ朝の王たちもクシャトリヤ出身です。

仏教の開祖である釈迦(ガウタマ=シッダールタ)もクシャトリヤの出身でした。「生まれた身分ではなく行いで人は評価されるべきだ」と説いた釈迦の思想は、カースト制度への静かな反抗でもありました。

■第3位:ヴァイシャ(農民・牧畜・商人)

ヴァイシャは農業・牧畜・商業に従事する人々の階級です。社会の経済を支える担い手であり、インドの各地の市場・農村で活動しました。税を納める義務を持つ一方、さきほど紹介した「二度生まれた者(ドヴィジャ)」の一員でもあり、バラモン・クシャトリヤと同じくウパナヤナを受けてヴェーダを学ぶことが認められていました。

■第4位:シュードラ(隷属民・使用人)

シュードラはヴァルナの最下位に位置する階級で、上位3ヴァルナへのサービス・肉体労働に従事します。アーリヤ人がインドに侵入した際に征服された先住民の多くがシュードラに位置づけられたと考えられています。

上位3ヴァルナが「二度生まれた者」とされるのに対し、シュードラはウパナヤナ(入門式)が認められず、ヴェーダを学ぶ権利もありませんでした。

🎯 暗記のコツ:ヴァルナ4階層は「聖(バラモン)・武(クシャトリヤ)・農商(ヴァイシャ)・隷(シュードラ)」の順でセット暗記。共通テストでは「農業・商業に従事するのはどれ?」「最上位のヴァルナは?」の形で出題されやすい。

ゆうき
ゆうき

4つの身分があるのはわかった。でも4つ全部名前と役割を覚えるのがむずかしい…。

もぐたろう
もぐたろう

聖・武・農商・隷」って漢字1文字のイメージで覚えると楽だよ!バラモン=「聖」(お坊さん)、クシャトリヤ=「武」(武士)、ヴァイシャ=「農商」(農民・商人)、シュードラ=「隷」(召使い)。テストで役割を問われたらこの順番で思い出してみて!

ダリット(不可触民)とは?

ヴァルナの4階層よりも、さらに下に置かれた人々がいます。それがダリット(Dalit)、かつて「不可触民(ふかしょくみん)」と呼ばれた人々です。

「不可触民」という言葉が示す通り、かつてはダリットの人に触れるだけで「穢れが伝わる」とされていました。ヴァルナのどの階層にも属さないことから「アウト・カースト」とも呼ばれ、社会から隔絶された存在として扱われてきました。

ダリットの人々が従事してきた職業は、死者の埋葬や遺体処理・皮革加工・道路の清掃など、「穢れ(けがれ)」が伴うとされた仕事でした。この「穢れの観念」はヒンドゥー教の宗教観と結びついており、差別を正当化する根拠として長い間機能してきました。

現在インドには約2億人以上のダリットがいるとされています。インド総人口の約16〜17%にあたる規模です。

📌 「ダリット」という言葉の意味:サンスクリット語・マラーティー語で「抑圧された者・踏みにじられた者」を意味します。「不可触民」という外から押しつけられた言葉に代わり、当事者たちが自ら選んだ呼び名です。現在、インドや国際社会では「不可触民」ではなく「ダリット」が使われます。

ダリットの状況に注目し、社会変革を訴えた人物のひとりがガンディーです。ガンディーは不可触民を「ハリジャン(神の子)」と呼び、差別からの解放を訴えました。

マハトマ・ガンディー
マハトマ・ガンディー

「かれらをハリジャン(神の子)と呼ぼう。カーストの外に置くのではなく、社会の中に迎え入れるべきだ。不可触民制度はヒンドゥー教の汚点であり、人間の尊厳への侮辱だ」

1950年に制定されたインド憲法は、カースト差別を明文で禁止し、ダリットを含む「指定カースト」への留保制度(リザーベーション)を設けました。大学・政府機関・議会の議席の一定割合を低カーストの人々に確保するアファーマティブ・アクション(積極的差別是正措置)です。

あゆみ
あゆみ

法律で禁止されているのに、ダリットへの差別って今も残っているんですか?

もぐたろう
もぐたろう

残念ながら、農村部では今もダリットへの就職拒否・結婚差別・公共の井戸を使えないなどの事例が報告されているんだ。法律と現実のギャップが大きい問題で、これが「なぜなくならないのか」という問いの核心にもなってくるよ。

ヴァルナとジャーティ――2つの「カースト」がある

「カースト制度」というとき、じつは2つの異なる概念が混在しています。ヴァルナジャーティです。この2つを混同すると、カースト制度の実態が正確に見えなくなってしまいます。

📌 ヴァルナとジャーティの違い
ヴァルナ:バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラの4つの大区分。教科書に載っている「4階層」がこれ。
ジャーティ:地域・職業・宗教・出自によってヴァルナをさらに細分化した2,000〜3,000以上の実際の集団。現実の差別・結婚制限はジャーティ単位で起こる。

ジャーティは「生まれ」を意味するサンスクリット語で、地域ごとに異なる職業グループが何百・何千と存在します。たとえばバラモンというヴァルナのなかにも、「北インドの特定地域で祭祀を行う家系」「南インドの特定儀式を専門とする家系」といった具体的なジャーティが無数にあります。

実際の日常生活での差別・結婚規制・食事のルールはジャーティ単位で起こります。インドの婚活サイトでカーストを選ぶ際も、「バラモン」という大区分ではなく、もっと細かいジャーティの入力を求めることが多いのです。つまり、カースト制度をリアルに理解するには、ヴァルナよりもジャーティの概念が重要です。

ゆうき
ゆうき

バラモンとか聞いたことあるけど、ヴァルナとジャーティって何が違うの?テストでどっちを覚えればいいの?

もぐたろう
もぐたろう

テストで問われるのは基本的にヴァルナ(4階層)だよ!ジャーティは「教科書に載っているヴァルナをさらに細分化した実際のグループ」と理解しておけばOK。ヴァルナが「都道府県」なら、ジャーティは「市区町村」のイメージで覚えよう。
現実の差別はジャーティ単位で起こるから、社会問題として理解するときはジャーティも大事だよ!

カースト制度はなぜなくならないのか

インドの憲法は1950年にカースト差別を禁止しました。にもかかわらず、カースト制度は今も社会の深いところに根を張っています。「法律で禁止したはずなのに、なぜ?」——この問いには、宗教・経済・政治の三つの力が絡み合う複雑な背景があります。

単純に「意識が低い」「教育が足りない」で片付けられない問題なのです。一つひとつ見ていきましょう。

■ヒンドゥー教の「ダルマ」概念と結びついている

ヒンドゥー教には「ダルマ(dharma)」という概念があります。これは「各自が生まれ持った職分・義務」を意味し、自分のカーストに定められた役割を誠実に果たすことが、来世でより高い身分に生まれ変わる(輪廻転生りんねてんせい)につながると教えられています。

つまり、「今このカーストで生きることには意味がある」という宗教的な正当化が、制度を内側から支えているのです。外から法律で「禁止する」と言われても、信仰の次元では簡単に切り離せないのが現実です。

「ダルマ」ってどういう意味?

サンスクリット語で「法・義務・真理」を意味します。ヒンドゥー教では「自分のカーストに定められた役割を忠実に果たすこと」がダルマとされ、その実践が来世での良い生まれ変わりにつながると信じられています。日本でいう「宿命」よりも積極的な意味を持つ概念です。

■農村の内婚制(ジャーティ内結婚)が根強い

インドの農村部では、結婚相手を「同じジャーティの中から選ぶ」のが長年の慣習です。異なるジャーティとの結婚は、家族や村社会から強い反発を受けることがあります。

この内婚制(エンドガミー)が続く限り、ジャーティという集団の境界線が維持され続けます。婚活サイトにも「カースト・ジャーティ」の入力欄があり、都市の若者でさえ親の意向でジャーティを考慮した結婚をするケースは今も多いのです。

■政治利用と「逆差別」論争

インドでは留保制度りゅうほせいど(リザーベーション・システム)と呼ばれるアファーマティブ・アクションが設けられ、ダリットや低カースト(OBC=その他後進階級)の人々に対して大学入学定員や公務員採用枠が確保されています。

しかし、この制度は政治的に利用されることも多く、「自分たちも優遇対象に入れてほしい」と要求する社会運動が頻発しています。また、高カーストの人々からは「逆差別だ」という批判も根強くあります。カースト制度を「なくす」どころか、政治がカーストを意識させる構造を強化してしまっているという皮肉な面もあるのです。

もぐたろう
もぐたろう

カースト制度がなくならないのは「宗教」「経済(農村の慣習)」「政治(留保制度)」が複雑に絡み合ってるから。法律で禁止するだけでは解決しない、根の深い問題なんだよ!

現在のインドとカースト制度

「インドのカースト制度は今も続いているの?」——この問いに対する答えは「都市と農村で大きく異なる」です。同じインドの中でも、IT産業が集まるベンガルールや富裕層が多いムンバイと、農村部のビハール州では、まるで別の世界のようにカースト意識の濃度が違います。

■IT産業でカーストが崩れつつある現象

インドのIT・テック産業は、実力主義(メリトクラシー)が比較的浸透している分野です。プログラミングの技術があれば、カーストに関係なく採用されるケースが増えています。低カースト出身のエンジニアがシリコンバレーの企業に就職したり、インド国内でスタートアップを立ち上げたりする事例も増えてきました。

都市部の若い世代では、「カーストより学歴や実力」という価値観が広がりつつあります。異なるジャーティ間の結婚(いわゆる「ラブマリッジ」)を選ぶ人も都市部では増加中です。

■農村部では今もカーストが日常を縛る

一方、インドの人口の約6割が暮らす農村部では、カーストは今も日常生活に深く根付いています。水を汲む井戸・食事をする場所・葬儀の役割——これらが今でもカーストで分けられている村があります。

ダリットの子どもが上位カーストの子どもと同じ席に座れない学校が存在するという報告もあります。また、ダリット出身の人が上位カーストの人と恋愛・結婚したことで暴力被害を受けるという事件は、現在も後を絶ちません。

📌 数字で見るカースト問題(現在):インドの人口の約16〜17%がダリット(SC)。留保制度により、議会・大学・公務員の一定割合がSC/ST(指定部族)・OBCに割り当てられている。ただし実際の格差は解消途上。

あゆみ
あゆみ

インドの婚活サイトにも「カースト」の入力欄があるって聞いて驚きました。今もそんなに意識されているんですか?

もぐたろう
もぐたろう

そう、今でも結婚はカーストが一致しているのが「当たり前」という意識の人が多い地域があるんだ。IT・都市では薄れてきているけど、農村部では依然として強くて、そのギャップが社会問題になってるよ!

「スクールカースト」との違い

日本でよく聞く「スクールカースト」という言葉。クラス内での人間関係の序列を指す俗語ですが、インドのカースト制度とはまったく別のものです。混同しがちなので、しっかり整理しておきましょう。

最も大きな違いは「固定性」です。インドのカースト制度は生まれた瞬間に決まり、本人の努力や意思では変えることができません(少なくとも建前上は)。一方、スクールカーストは、友人関係・外見・雰囲気・部活の組み合わせなどによって変動する、あくまで流動的な非公式の序列です。

📌 対比まとめ
インドのカースト制度=生まれで固定・宗教的根拠あり・法的差別禁止済み・歴史3,000年以上
スクールカースト=流動的で変化する・宗教・法律との関係なし・日本の俗語(2000年代〜)
名前が似ているだけで、深刻さのレベルは比べ物にならない。

ゆうき
ゆうき

「スクールカースト」って言葉、学校でよく聞くけど、インドのカーストと同じこと?

もぐたろう
もぐたろう

全然違うよ!スクールカーストは「雰囲気・友だち関係」で変動する流動的なもの。インドのカーストは「生まれで一生固定」される制度なんだ。名前は似てるけど、深刻さのレベルが全然違う!日本語でカーストという言葉を使うとき、本来のカースト制度とは意味が全く違うことを覚えておいてね。

テストに出るポイント

ここからは定期テスト・共通テスト・大学受験で押さえておきたいポイントをまとめます。試験直前の見直しにも使ってください。

テストに出やすいポイント
  • ヴァルナ4階層の名称と職業:バラモン(司祭・学者)・クシャトリヤ(武人・王族)・ヴァイシャ(農民・牧畜・商人)・シュードラ(隷属民・使用人)の順と役割は共通テスト必出
  • ダリット(不可触民):ヴァルナの枠外(「第5の存在」)に置かれた人々。アウト・カーストとも呼ばれる。インドに約2億人以上
  • アーリヤ人とカースト制度の起源:前1500年ごろにアーリヤ人がインダス川流域に侵入し、先住民との区別からヴァルナ(身分制)が生まれた
  • ジャーティ(ジャーティー):ヴァルナをさらに細分化した実際の出自・職業集団。数千のジャーティが存在し、現実の差別・結婚制限はこの単位で起こる
  • インド憲法(1950年)でカースト差別禁止:憲法制定により法的には差別禁止。留保制度(リザーベーション)も整備。ただし慣習として今も残存

📌 暗記のコツ:ヴァルナ4階層は「聖(バラモン)・武(クシャトリヤ)・農商(ヴァイシャ)・隷(シュードラ)」でセット暗記。ダリット=「ヴァルナの枠外・不可触民」は必ず押さえる。時系列は「アーリヤ人侵入(前1500年ごろ)→ヴェーダ→マヌ法典(前2〜後2世紀ごろ)→イギリス植民地(19世紀)→インド憲法(1950年)」の流れで覚えよう。

ゆうき
ゆうき

共通テストでカースト制度って出るの?どこが一番大事?

もぐたろう
もぐたろう

出るよ!特に「ヴァルナの4階層名と職業の対応」「ダリット(不可触民)の位置づけ」「アーリヤ人との関係」は要チェック!マヌ法典が「各ヴァルナの義務を成文化した法典」という点も問われやすいんだ!

カースト制度の理解を深めるおすすめ本

もぐたろう
もぐたろう

カースト制度をもっと深く知りたい人に、入門書を2冊紹介するよ!どちらも中高生〜大学生でも読みやすいからぜひ手に取ってみてね。

①ダリット問題を深く知りたいなら|現代インドの最前線をリポート

カーストとは何か インド「不可触民」の実像

鈴木真弥 著|中央公論新社(中公新書)


②インドの歴史をまるごと知りたいなら|古代から現代まで一冊で網羅

一冊でわかるインド史

水島司 著|河出書房新社


よくある質問

インド発祥の身分制度で、生まれたカーストによって職業・結婚・社会的立場が固定される仕組みです。大きく4つの階級(ヴァルナ)+ヴァルナの枠外のダリット(不可触民)に分かれます。前1500年ごろのアーリヤ人の侵入をきっかけに形成され、1950年のインド憲法でカースト差別は禁止されましたが、慣習として今も根強く残っています。

ダリット(Dalit、「抑圧された者」の意)は、ヴァルナの4階層の枠外に置かれた人々で、かつて「不可触民」と呼ばれていました。死者の処理・皮革加工・清掃などの職業に従事し、触れるだけで「穢れが伝わる」とされた差別を受けてきた人々です。インドには約2億人以上のダリットが存在するとされ、留保制度(リザーベーション)による優遇措置が設けられていますが、農村部では就職・結婚差別が今も残っています。

主な理由は三つあります。①ヒンドゥー教の「ダルマ(職分)」や輪廻転生の世界観と深く結びついており、宗教的な正当化がある。②農村の内婚制(同じジャーティ内での結婚)の慣習が根強く続いている。③留保制度(アファーマティブ・アクション)をめぐる政治的な利用が、カーストという枠組みを逆に強化してしまっている。法律で禁止しただけでは解決しない、複合的な問題です。

ヴァルナは「バラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラ」という4つの大カテゴリーで、聖典(ヴェーダ)に由来する宗教的・理念的な区分です。ジャーティはそのヴァルナをさらに細分化した、地域・職業・宗教ごとの実際の出自集団で、インド全土に2,000〜3,000以上存在します。現実の結婚や就職の制限はジャーティ単位で起こっており、生活に直接影響するのはジャーティのほうです。

1950年1月に施行されたインド共和国憲法によって、カーストに基づく差別は明文で禁止されました。また、差別撤廃を補完するために留保制度(SC・ST・OBCへの大学入学・公務員採用枠の確保)が設けられています。ただし、法律の禁止と社会の慣習には大きなギャップがあり、特に農村部では差別が継続しています。

まったく異なるものです。スクールカーストは日本の学校内での人間関係の序列を指す俗語で、流動的で変化します。インドのカースト制度は生まれによって固定される制度的・宗教的な身分制であり、法律的禁止があるにもかかわらず差別が続く深刻な社会問題です。名前が似ているだけで、成立背景・固定性・深刻さのレベルはまったく別物です。

まとめ:カースト制度をおさらいしよう

カースト制度とは、「生まれで一生が決まる」インドの身分制度です。前1500年ごろのアーリヤ人の侵入をきっかけに生まれ、ヴェーダ・マヌ法典・ヒンドゥー教の教えによって3,000年以上にわたって社会を規定してきました。

1950年のインド憲法でカースト差別は禁止されました。しかし「禁止されているのに続く」という矛盾の本質は、宗教・農村の慣習・政治が複雑に絡み合っている点にあります。法律だけでは解けない問いが、今もインド社会に問い続けられているのです。

カースト制度の歴史年表
  • 前1500年ごろ
    アーリヤ人がインダス川流域に侵入。先住民族との身分区別が始まり、ヴァルナ(身分区分)の概念が生まれる
  • 前1000年ごろ
    ヴェーダ文献でバラモン・クシャトリヤ・ヴァイシャ・シュードラの4ヴァルナが確立される
  • 前3世紀
    マウリヤ朝・アショーカ王が仏教を保護。仏教・ジャイナ教はカースト制度に反対の立場をとる
  • 前2世紀〜後2世紀ごろ
    マヌ法典が編纂される。各ヴァルナの義務・権利が成文化され、カースト制度が体系化される
  • 16世紀
    ポルトガル人がインドに来航し、身分制度を「カスタ(casta)」と呼ぶ。これが「カースト」という言葉の語源となる
  • 19世紀
    イギリスが植民地統治のためにカーストを戸籍に記録・固定化。制度が皮肉にも強化される
  • 1920年代〜
    ガンディーが不可触民を「ハリジャン(神の子)」と呼び、社会復帰を訴える運動を展開する
  • 1950年
    インド共和国憲法が施行。カーストに基づく差別を明文で禁止。留保制度(リザーベーション)も整備される
  • 現在(2026年)
    都市・IT産業ではカースト意識が薄まりつつある一方、農村部では結婚・職業への影響が今も続く

もぐたろう
もぐたろう

以上、カースト制度のまとめでした!ヴァルナ4階層・ダリット・なぜなくならないかは特に試験でも問われやすいポイントだよ。「法律で禁止されているのに続く」という矛盾の背景をしっかり理解しておこう。下の記事もあわせて読んでみてね!

📅 最終確認:2026年6月 / 参照:山川出版社『詳説世界史』(2022年版)

参考文献

Wikipedia日本語版「カースト」(2026年6月確認)
Wikipedia日本語版「ダリット」(2026年6月確認)
Wikipedia日本語版「ヴァルナ制度」(2026年6月確認)
コトバンク「カースト」(デジタル大辞泉・日本大百科全書、2026年6月確認)
コトバンク「ダリット」(ブリタニカ国際大百科事典、2026年6月確認)
山川出版社『詳説世界史』(2022年版)

記事の誤りを発見された場合はお問い合わせください。確認後、修正します。

📚 世界史の記事をもっと読む → 世界史の記事一覧を見る

スポンサーリンク
【大事なお知らせ】YouTube始めました!!

2024年2月、YouTubeチャンネル「まなれきドットコムちゃんねる」を開設しました。

まだ動画は少ないですが、学生や大人の学び直しに役立つ動画をたくさん増やしていくので、ぜひ下のアイコンからチャンネル登録、よろしくお願いいたします。

チャンネル登録する

この記事を書いた人
もぐたろう

教育系歴史ブロガー。
WEBメディアを通じて教育の世界に一石を投じていきます。

もぐたろうをフォローする
世界史