
今回は古代ギリシャの哲学者タレスについて、わかりやすく丁寧に解説していくよ!「哲学の祖」として有名な人物だけど、実はビジネスの天才でもあったんだ。高校世界史・共通テスト対策にもバッチリな内容だから、ぜひ最後まで読んでみてね!
📚 この記事のレベル:高校世界史
📖 山川出版社『詳説世界史』準拠
🎯 共通テスト・大学受験対応
「哲学者といえば、難しいことばかり考えている世間知らず」——そんなイメージをお持ちではないでしょうか。ところが、西洋哲学の祖とされるタレスは、星を眺めながらオリーブの搾油機を大量に買い占めて大儲けした実業家の顔も持つ人物でした。
実はタレスは「哲学者は貧乏で世間知らず」どころか、世界初のデリバティブ取引者とも呼ばれる先見の明の持ち主。「哲学の祖」と「ビジネスの天才」という二面性を持つタレスの破天荒な人生に、今回は迫っていきます!
タレスとは?——哲学の祖にして万能人
- 古代ギリシャ(紀元前624年頃〜前546年頃)、イオニア地方のミレトス出身の哲学者・数学者・天文学者
- 「万物の根源(アルケー)は水である」と唱え、神話に頼らず理性で世界を説明した最初の人物
- 日食の予言・ピラミッドの高さ測定・オリーブ先物取引など、哲学・天文・ビジネスを横断した万能人

タレスは紀元前624年頃、エーゲ海に面したイオニア地方の港町・ミレトスに生まれました。当時のミレトスは地中海貿易の要衝として栄えており、東方(エジプト・バビロニア)の知識がギリシャへと流入する玄関口でした。
なお、タレスが活躍した紀元前600年代は、日本では縄文時代晩期にあたります。ギリシャですでに哲学が花開いていた時代、日本はまだ縄文文化の真っ只中——このことを知ると、世界史の広さを改めて実感できますね。

タレスって教科書で名前だけ出てくるんだけど、実際どんな人なの?「万物の根源は水」って言った人、くらいしか知らなくて…。

タレスは紀元前600年代に活躍した古代ギリシャの思想家だよ。哲学だけじゃなくて、天文学・数学・ビジネスまで幅広くこなした「万能人」なんだ!「ギリシャ七賢人」の筆頭にも挙げられるほどの超有名人だよ。
ギリシャ七賢人とは、古代ギリシャで特に知恵と徳で知られた7人の賢者のこと。タレスは「すべてのものの始まりは水だ」という鋭い洞察でその筆頭に数えられ、後のソクラテス・プラトン・アリストテレスへと続く西洋哲学の大河の、まさに源流となった人物です。
次の章では、そんなタレスがどのような人生を歩んだのか、その生涯を詳しく見ていきましょう。
タレスの生涯——ミレトスから世界へ
タレスの生涯について詳しい史料は残っていませんが、後世の哲学者・歴史家の記録から、その輪郭を描き出すことができます。
■ 出生と育ち——交易都市ミレトスという土壌
タレスが生まれたミレトスは、現在のトルコ西岸・エーゲ海沿岸に位置する古代ギリシャの植民都市です。オリエント(東方)とギリシャ本土を結ぶ貿易の拠点として栄え、エジプト・バビロニア・フェニキアなど様々な文明の知識が集まる知の交差点でした。
タレスはフェニキア系の血統という説もありますが、確かなことは分かっていません。しかし、ミレトスという多文化都市で育ったからこそ、東方の天文学・測量術・数学を吸収し、それをギリシャ的な理性(ロゴス)で体系化できたのだと考えられています。
📌 ミレトスの位置:現在のトルコ共和国西部・エーゲ海沿岸。イオニア地方の中心都市のひとつ。古代には「イオニア地方の首都」とも称された繁栄した港湾都市。

■ エジプト・バビロニアへの旅——知の探求
タレスは若い頃にエジプトを訪れ、そこでピラミッドの高さを計算するなど測量術を実践したと伝えられています。また、バビロニア(現在のイラク周辺)の天文学記録を学んだことが、後の日食予言につながったとも言われています。

大地は水の上に浮かんでいる……。ナイル川の氾濫を見ていると、水こそがすべての根源に違いないと確信する。バビロニアの星図も、エジプトの測量術も、すべては一つの真理を指し示している。
■ 晩年——そして伝説的な最期
タレスは紀元前546年頃、故郷ミレトスで生涯を閉じたとされています。前624年頃に生まれ前546年頃に没したとすれば、享年は約78歳前後と計算されます。当時としては相当の長寿でした。
その死因については伝説的なエピソードが残っています。伝承によれば、晩年に体育競技を観戦していたところ、暑熱と渇き、あるいは老衰によって亡くなったとされています。「天のことを知るために空ばかり見ていた人物が、競技場でその生涯を終えた」——タレスらしい最期のエピソードとして語り継がれてきました。

最期まで競技を見に出かけていたなんて…!学者というと書斎にこもっているイメージですが、それだけ世の中への好奇心が旺盛だったということでしょうか?

そうだね!ちなみにタレスには「星を見上げて歩いていたら井戸に落ちた」っていう有名な逸話もあるんだけど、それは亡くなったときの話とはまた別物なんだ(この逸話は記事の後半でくわしく紹介するよ)。とにかく最期まで好奇心の塊だったんだろうね。次の章では、その好奇心の集大成ともいえる万物の根源論(アルケー論)について詳しく見ていこう!
「万物の根源は水」——タレスのアルケー論とは?
タレスの最大の功績は「万物の根源は水である」という主張にあります。ただし、重要なのは「水」という答えそのものではありません。タレスの革命的な点は、世界を神々の意志や神話で説明するのをやめたことにあります。

アルケーっていうのは「万物の根源・根本原理」のことだよ。「世界は何でできているの?」という問いに対して、タレスは初めて神様ではなく自然の物質(水)で答えたんだ。これが哲学の「最初の一歩」とされているんだよ!
■ なぜ「水」なのか——タレスの発想の源泉
タレスがアルケーとして「水」を選んだ理由については、いくつかの説があります。
① エジプトのナイル川の観察:ナイル川の氾濫が農地を豊かにする様子から、水が生命の根源だと確信した
② 水の三態(固体・液体・気体):水は氷にも蒸気にもなる。一つの物質がこれほど変化するなら、万物の根源になり得ると考えた
③ 生命との関係:あらゆる生き物は水を必要とし、精子・種子など生命の始まりには湿り気がある。水が生命の起源では?という観察
現代の目から見れば「水=万物の根源」は科学的に正しくありません。しかしタレスの偉大さは「答えの正しさ」ではなく、「神話ではなく観察と理性で世界を説明しようとした姿勢」にあります。

万物の根源は水である。水が固まれば土となり、蒸発すれば空気となる。あらゆる生命は水なくしては存在できない。水こそが世界の始まりであり、終わりなのだ。
タレス以前の古代ギリシャでは、「嵐はポセイドンの怒り」「稲妻はゼウスの力」のように、自然現象を神々の意志で説明するのが当たり前でした。これを神話による説明と言います。
タレスは「自然現象には、神話ではなく自然の原因がある」と考え、理性(ロゴス)で世界を探究しようとしました。この「神話(ミュートス)から理性(ロゴス)へ」の転換こそが哲学の誕生点とされており、タレスが「最初の哲学者」と呼ばれる理由です。
後にアリストテレスは著書の中でタレスを「自然哲学の祖」と位置付けています。
タレスの「アルケー論」が後世に与えた影響は計り知れません。次の章では、哲学にとどまらないタレスの多才な功績を見ていきましょう。
タレスの功績——哲学・数学・天文学の三冠
タレスが「万能人」と称されるのには理由があります。哲学のみならず、数学・天文学においても後世に名を残す業績を残したからです。
■ 哲学:ミレトス学派を創始
タレスは故郷ミレトスを拠点に、自然哲学の学派(ミレトス学派)を創始しました。この学派の特徴は「万物の根源(アルケー)は何か」という問いを自然の中に探ることでした。
タレスの弟子アナクシマンドロスはアルケーを「無限定者(アペイロン)」と主張し、さらにその弟子アナクシメネスは「空気」と唱えました。三者三様のアルケー論が展開されたこの学派は、後のギリシャ哲学全体の出発点となります。
■ 数学:タレスの定理とピラミッド測定
タレスは数学の分野でも先駆的な業績を残しました。特に有名なのが「タレスの定理」です。
📐 タレスの定理:半円に内接する三角形において、直径を底辺とする三角形の頂角(円周角)は必ず90度になる。これはユークリッド幾何学の重要な定理のひとつ。

またタレスはエジプト滞在中に、影の長さを利用してピラミッドの高さを測定したことでも知られています。自分の影の長さが身長と等しくなる瞬間(太陽が45度になる時刻)に、同時にピラミッドの影の長さを測定し、その高さを算出したとされます。

「影でピラミッドの高さを測る」って発想が2600年前にあったんですね!それって比例の考え方ですよね?今でも数学の基礎として習うことが…!

そうだよ!「自分の影=自分の身長」になるとき「ピラミッドの影=ピラミッドの高さ」になる。比例(比の原理)の実践的な応用だね。当時のエジプト人もこの発想に驚いたらしいよ!
■ 天文学:日食の予言
タレスの天文学上の最大の業績は、紀元前585年の日食の予言です。
当時、メディアとリュディアという二つの国が戦争をしていましたが、タレスが予言したとされる日食が実際に起こると、両軍は「神の警告だ」と恐れをなして戦闘をやめ、ハリュス川(現在のクズルウルマク川)を国境とした和平を結んだと伝えられています。たった一人の哲学者の予言が、戦争を止めた——なんとも劇的なエピソードです。
📌 「タレスの日食」(前585年5月28日):ハリュス川の戦いの最中に起きた日食。現代の天文学計算でも実際にこの日に日食があったことが確認されている(Wikipedia「タレスの日食」)。バビロニアの天文周期(サロス周期)の知識を活用した可能性が高いが、タレスが本当に予言したかどうかは史料的に確実ではない。

タレスの功績って哲学・数学・天文学って3つもあるけど、テストではどれが出やすいの?

圧倒的に「哲学:アルケー論(万物の根源は水)」と「ミレトス学派の創始」が最頻出だよ!天文学の日食予言は知識として知っておく程度でOK。「タレス=ミレトス学派=アルケーは水」の三点セットを覚えておけば、ほとんどの試験に対応できるよ!
哲学・数学・天文学の三冠を誇るタレス。しかしこの人物には、もうひとつの顔があります。次の章では、ユーモラスで人間味あふれるタレスの逸話を見ていきましょう。
タレスの面白い逸話——実業家・哲学者・うっかり屋の三面
タレスについては、後世の歴史家・哲学者が記録した興味深い逸話がいくつも残っています。哲学者・ビジネスマン・うっかり屋という、三つの顔を持つタレスの素顔に迫ります。
■ 世界初のデリバティブ取引——オリーブ搾油機買い占め事件
タレスの逸話の中でも最も有名なのが、オリーブ搾油機の買い占めエピソードです。哲学者・アリストテレスが著書『政治学』に記録しています。
タレスは冬のうちに星の観察から「翌夏はオリーブが豊作になる」と予測しました。そこで、ミレトスおよび周辺のキオス島にあるオリーブの搾油機を、まだ需要がない冬のうちに格安でオプション契約(使用権を事前に借り受けること)したのです。
夏になるとタレスの予言通りオリーブは大豊作となり、搾油機の需要が急増しました。タレスは先に押さえておいた搾油機を高値で貸し出して、莫大な利益を得たと言われています。

これって現代で言うと先物取引(デリバティブ)ですよね!2600年前に同じ仕組みを考えついてたなんて、タレスって本当にビジネスセンスがあったんですね…!

まさに!タレスはこれを「哲学者は金儲けもしようと思えばできる。でも自分はもっと大切なことを考えたいんだ」という証明のためにやったと言われているよ(笑)。「貧乏な哲学者」という世間の偏見を、実力で覆したわけだね!

哲学者が貧乏なのは、好き好んでそうしているのだ。金儲けは、やろうと思えばいつでもできる。だが私には、もっと考えるべきことがある。
■ 星を見ながら井戸に落ちる——うっかり屋タレスの伝説
タレスには、哲学者の「浮世離れ」を象徴するエピソードも残っています。夜空の星を熱心に見上げながら歩いていたタレスは、足元の井戸(あるいは溝)に落ちてしまいました。
これを見ていた侍女(別の記録では「トラキアの老女」)は、こう笑い飛ばしたとされています。「足元も見ずに、天のことばかり知ろうとするのか!」と。
この逸話は後世の哲学者にたびたび引用され、「哲学者の抽象的思考と現実世界のズレ」を表すエピソードとして語り継がれてきました。後に哲学者のプラトンはこの話をユーモラスに引用し、哲学的思索が時に現実から遠ざかることを認めながらも、その高貴さを擁護しています。

天才なのにうっかり屋でもあるっていう、なんか親近感がわきますね(笑)

そうだね(笑)!これが「哲学者あるある」として古代から笑い話にされてたんだから、2600年前も今も人間って変わらないなって思う。でもこの「足元より空を見る」スタイルが、哲学という学問の本質でもあるんだよね。
■ 黄金の三脚台——「最も賢い者に渡れ」という謙虚さの伝説
哲学・天文・ビジネスという三面を持つタレスですが、もうひとつ忘れられないエピソードがあります。それが黄金の三脚台にまつわる逸話です(ディオゲネス・ラエルティオス『哲学者列伝』に記録)。
ある漁師たちが海の底から黄金の三脚台(または黄金の杯とも)を引き揚げました。誰のものかを巡って争いになったため、デルフォイの神殿に神託を求めると「最も賢い者に渡せ」という答えが返ってきました。
当然、七賢人の筆頭・タレスのもとへ届けられます。しかしタレスは「私よりも賢い者がいる」として次の賢人へ送り出しました。三脚台は七賢人全員のもとを巡りましたが、誰もが「もっと賢い者がいる」と辞退。やがてふたたびタレスの手もとへ戻ってきたのです。
タレスは最終的にその三脚台をアポロン神殿に奉納しました。「知恵とは自分の限界を知ることにある」——この行動は「汝自身を知れ」というタレスの格言を、そのまま体現したものとして後世に語り継がれています。

最も賢い者とは、自分がいまだ何も知らないことを知る者だ。この三脚台は神に捧げるのが最もふさわしい。

「私より賢い人がいる」って言い続けたのに、結局全員に戻ってくるという…。タレスの謙虚さが逆に彼の偉大さを証明している話ですね!

これこそが「汝自身を知れ」の実践だよね!「自分が最も賢い」と主張しないのに、誰もが認める最高の賢者。オリーブ搾油機で「やればできる」と証明したタレスとは、また違う面白さがあるね。次の章では、そんなタレスの珠玉の名言を紹介するよ!
タレスの名言
タレスには多くの格言が伝わっています。ソクラテス・プラトン以前の人物であるため、著作はほぼ現存していません。しかし後世の哲学者・歴史家によって伝えられた言葉は、2600年の時を超えて今も鋭く刺さります。
「汝自身を知れ」
— デルフォイのアポロン神殿に刻まれた格言(タレスの言葉とも、七賢人の共同奉納格言とも伝わる)
「汝自身を知れ」——これはデルフォイ(デルポイ)のアポロン神殿の入口に刻まれた有名な格言です。ディオゲネス・ラエルティオスはこれをタレスの言葉としていますが、スパルタのキロンの言葉とも、七賢人が神殿に奉納した共同の格言とも伝わっており、由来は定かではありません。「まず自分自身を正しく知ることが、知恵の出発点だ」という意味は、哲学の根本精神を言い表しています。後のソクラテスも、「無知の知(自分が知らないことを知っている)」という形でこの精神を受け継ぎました。
「万物の根源は水である」
— タレスの根本命題(アリストテレス『形而上学』などに記録)
哲学史上、最初の「哲学的命題」とされる言葉です。現代科学の視点から見れば「答えとして正しくはない」ですが、「神話ではなく自然の原理で世界を説明しようとした」という姿勢が、科学的思考の出発点とされています。水は固体・液体・気体の三態を持ち、あらゆる生命に不可欠——その観察が生んだ、人類初の「なぜ?」への回答です。
「世界でもっとも難しいことは自己を知ることである。もっとも易しいことは他人に忠告を与えることである」
— タレスの格言(ディオゲネス・ラエルティオス『哲学者列伝』より)
古代ギリシャの哲学者列伝を記したディオゲネス・ラエルティオスが伝えるタレスの格言です。「自己を知ることの難しさ」と「他者への批評の容易さ」——この逆説は、2600年前も現代のSNS社会でも、変わらず刺さる真理ではないでしょうか。
「希望だけは、何も持たない者にも残されている」
— タレスの格言
財産も地位も失った人間でも、「希望」だけは奪われない——タレスの言葉の中でも特に現代的な響きを持つ一言です。哲学者であると同時に実業家として生きたタレスならではの、現実的かつ前向きな世界観が感じられます。

タレスの名言、2600年前の言葉とは思えない鋭さだよね!特に「自己を知ることの難しさ」なんて、SNSで他人を批判しやすい現代にこそ突き刺さる言葉だと思う。次の章では、タレスの弟子たちがどのようにその思想を受け継いだかを見ていくよ!
ミレトス学派の継承——アナクシマンドロスとアナクシメネス
タレスが切り拓いた「アルケー探究」という問いは、弟子たちに引き継がれ、ミレトス学派として開花していきます。タレスの後継者は2人——アナクシマンドロスとアナクシメネスです。
タレスの直弟子とされるアナクシマンドロスは、師のアルケー論を継承しつつも、大きく踏み出しました。「アルケーは水のような目に見える具体的なものではなく、感覚を超えた何かでなければならない」という発想から、アペイロン(無限定者)という抽象的な概念を提唱したのです。
「アペイロン」とはギリシャ語で「限界のないもの・無限定なもの」を意味します。タレスが「水」という答えを出したのに対し、アナクシマンドロスは「特定の物質では説明できない、より根本的な何か」を想定しました。具体物から抽象概念へ——哲学的思考が一段階深まった瞬間です。

「アペイロン」って難しい言葉だな…。要は「水でも空気でもない、何かよくわからない根本的なもの」ってこと?

まさにそのイメージで正解だよ!「水」という答えは「でも、じゃあ水はどこから来たの?」という次の疑問が生まれてしまう。アナクシマンドロスはそこに気づいて、「根源は特定の物質である必要はない、無限定な何かだ」と考えたんだ。師匠の発想を乗り越えようとした、挑戦的な弟子だったんだよ。
さらに、アナクシマンドロスの弟子にあたるアナクシメネスは、師のアペイロン論を再び「具体物」へと引き戻しました。アナクシメネスが提唱したアルケーは空気(プネウマ)です。ただし単純に「空気」というだけでなく、濃縮・希薄化という変化のメカニズムで万物の多様性を説明しようとしました。
「空気が濃縮されると水になり、さらに濃縮されると土や石になる。希薄化すると火になる」——これは現代科学から見ると誤りですが、「変化の法則」を理性的に説明しようとした点で、科学的思考の萌芽を感じさせます。
| 人物 | アルケー | 特徴 |
|---|---|---|
| タレス | 水 | 目に見える具体的な自然物。生命の根源としての水 |
| アナクシマンドロス | 無限定者(アペイロン) | 感覚を超えた抽象概念。タレスの発想を乗り越えた |
| アナクシメネス | 空気 | 濃縮・希薄化で万物が生じると説明。変化の法則に注目 |
タレス・アナクシマンドロス・アナクシメネスの3人は、今日「ミレトス学派」または「イオニア学派」と総称されます。彼らが共通して問い続けた「万物の根源は何か」というテーマは、その後の自然哲学・科学の出発点となりました。
🗾 このとき日本は?:タレスが活躍した前6世紀(前600年〜前500年ごろ)、日本はまだ縄文時代晩期にあたります。なお弥生時代の開始時期については学説が変化しており、近年の研究では前8〜前9世紀ごろに遡るとする説も有力視されています。ギリシャで哲学が産声をあげていた頃、日本では縄文人が豊かな自然の中で暮らしていたというのは、世界史ならではのスケール感です。
テストに出るポイント
ここからは定期テスト・共通テスト・大学受験で押さえておきたいポイントをまとめます。試験直前の見直しにも使ってください。
📌 共通テストの頻出パターン:①「アルケーが水=タレス」「アルケーがアペイロン=アナクシマンドロス」「アルケーが空気=アナクシメネス」の3者の組み合わせ選択問題。②「なぜタレスが最初の哲学者か」を論述させる問題(答え:神話でなく自然の原理・ロゴスで世界を説明した)。③ギリシャの七賢人との関連(タレスが筆頭)。この3パターンを押さえれば対応できます。

共通テストでタレスが出るとしたら、どんな形の問題が多いの?選択肢だとどう判断すればいい?

「ミレトス学派の誰がどのアルケーを唱えたか」の人物と概念の組み合わせ選択が最頻出だよ!「アルケーが水=タレス」「アペイロン=アナクシマンドロス」「空気=アナクシメネス」の3つをセットで覚えれば、選択肢を見た瞬間に絞り込めるようになる。論述問題では「なぜ最初の哲学者か」の理由——つまり「神話から理性(ロゴス)へ」という一言を必ず書くこと!
タレスについてもっと詳しく知りたい人へ

タレスや古代ギリシャ哲学をもっと深く知りたい人に、おすすめの本を紹介するよ!高校生には「難しそう…」と思わずに読める本から、社会人向けにじっくり読める専門書まで3冊セレクトしたよ。
タレスから始まりソクラテス・プラトン・ニーチェまで、西洋哲学の主要人物を格闘漫画風の演出で解説した超人気入門書。「哲学ってなんか難しそう」という先入観を吹き飛ばしてくれる一冊です。タレスの「万物の根源は水」が哲学史の起点としてどう位置づけられるかが、読み物として楽しく理解できます。
ギリシャ哲学研究の第一人者・岩田靖夫が、タレスを含むソクラテス以前の哲学者から始まり、アリストテレスの倫理・政治思想まで体系的に解説。「哲学とは何か、なぜ生まれたか」というテーマを丁寧に追いたい社会人に最適です。飲茶よりやや専門的ですが、各哲学者の思想のつながりが見えてきます。
タレス・アナクシマンドロス・アナクシメネスなどミレトス学派の哲学者を中心に、ソクラテス以前の思想を詳しく解説した専門書。「アルケーとは何か」「なぜタレスは水を根源としたか」を原典の断片から丁寧に読み解きます。大学で哲学を学ぶ人や、タレスを本格的に研究したい人におすすめです。
よくある質問(タレスについてのQ&A)
前624年頃〜前546年頃に活躍した古代ギリシャ・ミレトス出身の哲学者・数学者・天文学者です。「万物の根源(アルケー)は水である」と唱えて、神話に代わり自然の原理で世界を説明した最初の人物とされ、「哲学の祖」または「西洋最初の哲学者」と呼ばれます。ギリシャ七賢人の筆頭にも挙げられます。
タレス以前の古代ギリシャでは、「嵐はポセイドンの怒り」「大地はアトラスが支えている」のように、自然現象を神話・神々の意志で説明するのが一般的でした。タレスは初めて「自然現象には自然の法則による説明がある」として、神話に頼らず理性(ロゴス)で世界を解釈しようとしました。この「神話(ミュートス)から理性(ロゴス)へ」の転換が、哲学・科学の誕生点とされているためです。
「世界のすべては水という単一の物質から生まれ、水へと戻っていく」というタレスの主張です。重要なのは「水」という答えそのものよりも、世界を神話ではなく自然の原理(アルケー)で説明しようとした姿勢にあります。水は固体・液体・気体の三態に変化し、あらゆる生命に不可欠である——こうした観察が「水=万物の根源」という発想を生みました。現代科学の視点では誤りですが、理性的な探究の先駆として哲学史に刻まれています。
タレスのアルケーは「水」という目に見える具体的な自然物でした。対してタレスの弟子アナクシマンドロスは、「水のような具体的な物質をアルケーとすると、なぜ水から万物が生まれるのかが説明できない」と考え、感覚を超えた抽象的な概念「アペイロン(無限定者)」をアルケーとして提唱しました。具体物から抽象概念へ——ミレトス学派の中でも哲学的思考が一段階深まった点が最大の違いです。
アリストテレスの『政治学』に記された逸話によると、タレスは「哲学者は貧乏だ」という世間の見方に反論するために、意図的に金儲けをしてみせたとされています。冬の星の観察からオリーブの豊作を予測したタレスは、格安でオリーブ搾油機の使用権を確保し(現代でいうオプション取引)、夏の大豊作の際に高値で貸し出して大儲けしました。「哲学者は望めば富を得られる。だが自分はもっと大切なことを考えたい」という意思表示でした。この逸話は現代のデリバティブ(先物取引)の起源とも評されています。
タレスは前624年頃に現在のトルコ西岸にあたるイオニア地方のミレトスで生まれ、前546年頃に没したとされています(享年78歳前後)。活躍した時代は前6世紀で、中国では孔子が誕生する直前、インドではブッダ(釈迦)と同時代に当たります。日本史との対比では、日本がまだ縄文時代晩期にあった頃に相当します。ちなみに前585年に日食を予言したことが最も年代の確かな記録で、この出来事でタレスの名が世界史に刻まれました。
まとめ——タレスとは何者か
「哲学の祖」「最初の哲学者」——そう呼ばれるタレスの偉大さは、単に「万物の根源は水だ」と言ったことではありません。神話で語られてきた世界を、初めて理性の言葉で語り直そうとしたことにあります。その問いがなければ、ソクラテスも、プラトンも、アリストテレスも、現代科学も生まれなかったかもしれない——それがタレスの本当の功績です。

以上、タレスについてのまとめでした!哲学者・数学者・天文学者・実業家という多才ぶりと、「なぜ?」と問い続けた2600年前の知的好奇心——タレスの魅力、伝わったかな?下の記事でもギリシャ哲学の世界をあわせて読んでみてね!
- 前624年頃タレス、ミレトスに生まれる
- 前600年頃エジプト・バビロニアに遊学。天文学・測量術を習得
- 前585年日食を予言(メディア・リュディア戦争の「タレスの日食」)
- 前580年頃ピラミッドの高さを影で測定(比例の原理を実践応用)
- 前570年頃オリーブ搾油機の先物取引で大儲け(アリストテレス伝承)
- 前546年頃ミレトスにて死去(享年78歳前後)
📅 最終確認:2026年6月 / 参照:山川出版社『詳説世界史』
Wikipedia日本語版「タレス」「タレスの日食」「ギリシャ七賢人」(2026年6月確認)
コトバンク「タレス」(デジタル大辞泉・日本大百科全書)(2026年6月確認)
山川出版社『詳説世界史』
記事の誤りを発見された場合はお問い合わせください。確認後、修正します。




