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レーガノミクスとは?簡単にわかりやすく徹底解説【スタグフレーションを解消し双子の赤字を生む】

この記事は約9分で読めます。

今回は、1980年代にアメリカ大統領のロナルド・レーガンが実施した一連の経済政策(レーガノミクス)についてわかりやすく丁寧に解説していきます。

この記事を読んでわかること
  • レーガノミクスってそもそも何?
  • レーガノミクスが行われた理由は?
  • レーガノミクスって具体的に何をしたの?
  • レーガノミクスでアメリカ経済はどうなったの?
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レーガノミクスを行った理由

レーガノミクスは、簡単にまとめてしまうと「アメリカで起こったスタグフレーションという厄介な経済現象を終わらせるために行った経済政策」のことです。

なので、レーガノミクスについて理解するには、

  • 1980年代のアメリカの経済事情
  • スタグフレーションとは?

の2点について知っておく必要がありますので、まずはその解説から入ります!

レーガノミクス当時のアメリカの経済事情

レーガノミクスに関連するイベントをピックアップして、アメリカ経済を時系列で振り返ってみます。

レーガノミクス
  • 1950年代
    〜1960年代前半
    安定したアメリカ経済

    好景気の象徴である緩やかなインフレーション(物価上昇)が見られ、アメリカ経済は良好。名実ともに世界経済の王者でした。

  • 1965年頃
    ベトナム戦争に参戦

    軍事品の大量購入でアメリカ財政が悪化。

    軍事品購入によりアメリカで流通する通貨量が増えたため、インフレーションが加速。好景気を超して景気は過熱気味へ・・・。

  • 1973年
    第四次中東戦争、勃発!→第一次オイルショックへ

    イスラエルVSアラブ諸国。

    戦争により石油価格が高騰。おまけに、アメリカがイスラエルを支援すると、アラブ諸国はアメリカへの石油輸出禁止を発表。

    アメリカ国内では商品価格が高騰して、インフレがさらに加速。

  • 1979年
    イラン革命→第二次オイルショックへ

    さらにさらにインフレ加速

  • 1981年
    レーガン大統領就任。レーガノミクス開始

    超インフレで物価が急上昇したのに、なぜか失業率が増加(スタグフレーション)。物の値段は上がるのに仕事が減り、多くのアメリカ国民が生活に苦しむことに。

    この状況を打破するため、レーガン大統領は新たな経済政策を打ち出す(これがレーガノミクス!!

超インフレの原因は、ベトナム戦争やオイルショックだけではありませんが、この2つのイベントが超インフレを引き起こすトリガーになってしまいました。

スタグフレーションとは

昔から、インフレーション(物価上昇)というのは、仕事がたくさんあって失業者の少ない好景気の時に起こる現象だと考えられていました。

逆に、デフレーション(物価下落)が起これば、仕事が減って失業者が増える不景気に起こるものだと考えられていました。

少し時代がさかのぼる1929年、世界恐慌が起こり、アメリカはデフレand不景気の時代に突入します。

この時、デフレand不景気を解消する方法を発見した経済学者がいます。その経済学者の名はジョン・メイナード・ケインズ

ケインズ
ケインズ理論(主義)

ケインズの考えた理論は、簡単に言うと「デフレand不景気になったら、国が公共事業とかにたくさんお金を使えば、世の中に出回るお金が増えて物価上昇につながるし、仕事も増えてインフレand好景気になるよ!(超インフレand景気過熱になったら逆をすればOK)」というものです。

世の中が安定するには、デフレよりもインフレが望ましいことがわかっているので、「ケインズ理論に基づいてデフレや超インフレを防ぎつつ、インフレを維持する」というのが、当時の王道とも言える考え方でした。

このケインズの考え方は、世間ではケインズ理論ケインズ主義と呼ばれています。

しかし、1960年代になると「インフレand好景気」でも「デフレand不景気」でもない、「インフレand不景気」という、謎の現象が世界で見られるようになります。このことをスタグフレーションって言います。

スタグフレーションは非常に厄介で、国民の生活にもろに悪影響を与える(物の値段は上がるのに仕事がない)くせに、ケインズ理論を使うことができません。ケインズ理論は、主に「インフレand好景気」と「デフレand不景気」を想定した理論だからです。

つまり、スタグフレーションから国民を守るためには、ケインズ理論に囚われない新しい一手が必要でした。アメリカの場合、その新しい一手こそがレーガノミクスとなります。

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レーガノミクスの内容

スタグフレーションとはインフレand不景気のこと。つまり、スタグフレーション解消とは、言い換えると、

  • インフレの抑止
  • 不景気からの脱出(失業率の減少)

の2つを達成するということになります。

そこでレーガン大統領は、「民間企業に商品作らせまくって、供給量を増やせば商品価格は下がり、仕事も増えて、みんなハッピーなのでは?」的なことを考えました。

ケインズ理論が需要をコントロールすることを重要視するのに対して、レーガンの考え方は供給のコントロールを重要視している点が大きな特徴でした。

こう考えたレーガン大統領は具体的に以下のような政策を行います。

レーガノミクスの内容
  • 1減税
  • 2規制緩和
  • 3財政支出の削減

それぞれ詳しく見ていきます。

1 減税

減税によって、企業が商品生産のための設備投資や資金集めをしやすいようにしました。

具体的には以下のような減税政策を行っています。

  • 1企業の設備投資に関する減税
  • 2個人の所得税の減税
  • 3株などの投資で儲けた所得に対する減税

2・3は、

「減税によって手元のお金が増える(2)」+「減税で株を買いやすくする(3)」=「みんな企業の株を買って投資するようになって、企業は設備投資のための資金を集めやすくなる!」

という理屈です。

2規制緩和

企業の生産性向上のため、競争意欲を奪うさまざまな業界の規制緩和を行いました。

生産性が向上すれば、商品の大量生産が可能となりますからね。

3財政支出削減

戦後、アメリカは福祉政策を重視し、60年代から福祉に関する支出が増え続けていました。レーガン大統領は、福祉に関する支出の増加率を抑えることで、世間に流通するお金の量を抑制してインフレを防ごうとしました。

しかし、この財政支出削減はうまくいきません。

というのも、1970年代後半からアメリカとソ連の対立(冷戦)が再燃。レーガン大統領は、ソ連との戦争を想定して軍事費を増やしたからです。

それでも、当初は福祉費用の削減でチャラになる予定でした。しかし、福祉費用の削減は国民から強い批判を受けて中途半端に。結果的に、レーガノミクスによって財政支出額が大幅に増えてしまい、アメリカの財政は苦しくなってしまいます。

このほか、レーガン大統領は、金利を上げて国内の通過供給量(マネーサプライ)を減らすことでインフレ率を抑えようとしました。

金利の上昇は、企業の設備投資の意欲を減衰させてしまい、上記1・2の政策と相反していますが、全ての政策を合体させることで全体として、スタグフレーションは抑えられ、アメリカの経済は健全さを取り戻すとレーガン大統領は考えたのですね。

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レーガノミクスの結果

結論から言うと、レーガノミクスの結果にはさまざまな意見があり、ガッチリとした定説がありません。

ただ、事実として以下の2つのことが起こりました。

レーガノミクスの結果
  • 1 スタグフレーションの解消
  • 2 国家財政の大幅悪化(財政赤字and経常収支の赤字)
  • 3 急激なドル高

1 スタグフレーションの解消

レーガノミクスによって確かにスタグフレーションは解消されました・・・が、経済学者の中にはレーガノミクスの結果を疑問視する人もいます。

・スタグフレーションはオイルショックが終わって自然に解消されただけで、レーガノミクス関係ある?

・結果を見れば、スタグフレーションが解消されたのは、ケインズ理論に基づく結果だ。レーガノミクスでやったことはケインズ理論で説明できるものだ。

などなど、さまざまな意見があるようです。

2 財政赤字の拡大(双子の赤字)

レーガノミクス減税による収入の減少

軍事費増大による支出の増大(福祉費の削減も失敗)

このダブルパンチによってアメリカ財政は大赤字を叩き出しました。1980年には約-700億ドルだった赤字が、1983年には約-2000億ドルに拡大してしまいます。

おまけに、

軍事品の購入

減税による購入意欲の向上

は、アメリカへの輸入を増大する結果となり、アメリカの経常収支(輸出額ー輸入額)は赤字に転落しました。

こうしてアメリカは、国家財政・経常収支ともに大赤字に陥りました。このことを双子の赤字と言います。

著しいドル高

レーガノミクスによる金利の引き上げによって、世界中の投資家が「ドルを買って、そのドルを貸し出せば、高金利で儲かる!」と考えて、ドルを買いまくりました。

この需要の高まりによってドルの為替が急上昇。日本円との関係で言うと、1978年に1ドル=176円だったものが、1982年11月には1ドル=277円にまで上昇しました。

ドル高には、次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット:輸入品を安く手に入れることが可能

デメリット:アメリカの輸出品は諸外国から見れば割高となり、国際競争で不利になる

国際競争力の低下は、国力低下を招く死活問題です。アメリカとしても看過することはできません。

1982年頃から「マネーサプライを減少させて金利を上げる」という政策は中止となり、1985年にはドル高を食い止めるため、アメリカを含む5つの先進国の間でプラザ合意が結ばれました。

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プラザ合意へ

ドル高は輸入を増長するため、経常収支赤字の原因でもあり、この状況は1971年に起きたニクソン=ショックの時とそっくりでした。

アメリカを含む主要先進国では「ニクソン=ショックの再来はマジ勘弁!」とアメリカ経済に強い警戒心を持っていたため、先進国の中でアメリカのドル高を是正する案が浮上してきます。

一方でドル高は、アメリカに商品を輸出する国にとっては利益を出す大チャンスでした。日本もドル高の恩恵を受けて、アメリカへの輸出で大きな利益を手に入れています。

ドル高により安い輸入品が大量に入り込むと、アメリカの生産者はこれに太刀打ちできません。結果的に日本の輸入品はアメリカの仕事を奪うこととなり、アメリカから強い批判を浴びることになりました。

日立や三菱の社員がIBMの調査によりスパイと判断され逮捕された「IBM産業スパイ事件」が起こるなど、アメリカの日本に対する反感は日に日に強まっていきます。

このような輸入・輸出の量が急激に変化し、国家間で軋轢が生まれることを貿易摩擦ぼうえきまさつと言います。この貿易摩擦を解消することも、当時の大きな課題の1つでした。

「ニクソン=ショックの再来防止」「貿易摩擦の解消」この2つを解消するため、1985年、アメリカのニューヨークにあるプラザホテルに西ドイツ・フランス・イギリス・アメリカ・日本の五カ国の主要人が集まり、ドル高を是正して為替相場の安定を目指す合意が結ばれました。この合意のことをプラザ合意と言います。

ニクソン=ショック→レーガノミクス→プラザ合意と目まぐるしい経済の荒波を乗り越えながら、世界経済は新しいステージへと突入していくことになります。

この記事を書いた人
もぐたろう

教育系歴史ブロガー。
WEBメディアを通じて教育の世界に一石を投じていきます。

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