今回は、古墳時代に登場した朝鮮半島の3つの国
についてわかりやすく丁寧に解説していきます。
最初に教科書風に概要をまとめておきます↓
高句麗・新羅・百済が登場した時代背景
高句麗・新羅・百済が古墳時代に登場する背景には、東アジアの大国だった晋が弱体化があります。
300年代前半(4世紀前半)、晋が弱体化すると北部の地方を中心に、晋から独立する国が次々と現れ、新しい国が乱立するようになります。
そして、この独立の機運が朝鮮半島にまで及んで登場したのが高句麗と百済、そして新羅でした。
高句麗
高句麗は朝鮮半島の北部に位置する国であり、晋と主従関係を結んでいました。
ところが、晋の衰退によって主従関係を破棄して独立。313年、今の平壌当たりにあった晋の出先機関「楽浪郡」を滅して、朝鮮半島の北部一帯を高句麗の支配下としました。
百済
4世紀初期、朝鮮半島には小国が乱立していました。
その小国たちは、大きく3つの連合体を形成していて、その3つの小国の集まりのことを、馬韓・弁韓・辰韓と言いました。
ざっくりと、
という位置関係でした。
晋北部の分裂や高句麗の勢力拡大は、朝鮮半島にも大きな影響を与えました。
晋による東アジアの秩序が崩壊すると、馬韓・弁韓・辰韓の小国連合体は晋に頼らずに自国を守る必要性に迫られます。
そんな馬韓・弁韓・辰韓にとっての最大の関心ごとは、高句麗が楽浪郡を滅して朝鮮に接近していたことでした。
高句麗がそのまま朝鮮に進攻してくるのでは?
高句麗と手を結べば、自国は安泰なのでは?
朝鮮半島の国々は、高句麗とどう向き合うかいろんな意見があったことでしょう。
そうした情勢の中、300年代中盤(4世紀中盤)に馬韓の国々が1つにまとまって大きな国を建国しました。この国のことを百済と言います。
新羅
新羅が登場した背景も、百済と同じです。
4世紀中盤に辰韓の国たちがまとまって新羅という国が出来上がりました。
新羅と百済の間に取り残された弁韓は、高句麗と直接隣接しなかったおかげなのか、小国乱立のまま存続し、伽耶諸国と呼ばれました。
ざっくりとした時代の流れはこんなイメージです。
- STEP1晋が衰退する
- STEP2高句麗が楽浪郡を滅して勢力拡大
- STEP3高句麗の朝鮮半島接近により、馬韓・辰韓は強い刺激を受けて百済・新羅が登場!
高句麗・新羅・百済の関係
この3国の関係は時代と共に変化しますが、初期の頃はおおむね以下のような感じでした。
百済VS高句麗の関係が続き、新羅は基本的に高句麗に味方することがほとんどでした。
また、百済と新羅は小国乱立のまま残っていた伽耶諸国の取り合いでも対立するようになり、次第に関係が悪化していきます。
こうなると単純計算で1(百済)対2(高句麗・新羅)となり、百済が不利です。
そこで、百済が頼りにしたのが倭国(今の日本)でした。
高句麗・新羅・百済と日本の関係は?
実は、新羅と百済による伽耶諸国の取り合いには、もう1人のプレーヤーが存在しました。それが倭国です。
倭国は伽耶諸国のことを任那と呼び、任那を倭国と朝鮮を結ぶ最重要拠点と考えていました。
こうして伽耶諸国をめぐって新羅・百済・倭国が利害関係を持つようになると、百済は真っ先に倭国に接近します。
百済「高句麗・新羅に対抗するために味方が欲しい・・・」
日本「任那が百済・新羅に支配されると朝鮮半島との関わりが無くってしまうから困る。任那を倭国の勢力下に置きたい」
この両者の思惑が一致して百済と倭国は同盟を結ぶことになります。同名の詳細は不明です。「百済が倭国の任那支配を支援する代わりに、倭国は百済の高句麗・新羅との戦いを支援する」的な同盟だったのだろうと思います。
卑弥呼が活躍していた200年頃の倭国は、内乱が続いて荒れていました。
倭国が朝鮮へ軍隊を送り込めたというのは、300年代の倭国はだいぶ国内統一が進んできた・・・ということを暗示しています。
日本・百済VS高句麗・新羅
百済と同盟を組んだ倭国は、朝鮮への軍事行動を頻繁に行うようになります。
390年頃には日本・百済VS高句麗・新羅の間で大規模な戦いが起こり、日本が敗北した・・・という記録が好太王碑という石碑に刻まれています。
好太王は、当時の高句麗の王の名前です。とても優れた統治者だったようで、好太王碑には好太王の功績(百済・日本をぶっ倒した!)が刻まれているのです。
こうして、朝鮮半島に高句麗・新羅・百済が登場すると、その隣国である倭国にもその影響が及びます。
晋から独立した国々は争いを続け、朝鮮半島でも倭国を巻き込んだ動乱起こり、大国を失った東アジアは混迷の時代が続くことになります。
コメント
韓国には、建国時の百済は高句麗の王族と血縁関係にあり、内紛によって百済が建国されて以降対立し、高句麗を打ち破ったとする歴史ドラマ『近肖古王(クンチョコワン)』がありますが、百済建国の経緯の部分については、根拠のない全くのフィクションなのかと疑問に思いました。