法の下の平等とは?憲法第14条を簡単にわかりやすく徹底解説【その意味と内容、歴史を知る。男女平等の具体例付】

今回は、高校の「政治・経済」の授業で学ぶ「法のもと平等」の考え方についてわかりやすく丁寧に解説していきます。

この記事を読んでわかること
  • 法の下の平等って具体的になんのこと?
  • 昔の日本はみんな法の下で平等じゃなかったの?
  • 男女差別は法の下の平等に反するのでは?
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法の下の平等とは?

日本国憲法には3大原則と呼ばれる3つの大事なルールが定められています。

日本国憲法の三大原則

「法の下の平等」という考え方が関係するのは、この3つのうち「基本的人権の尊重」です。

私たちの人権が尊重されるには、家柄や性別などの差別はあってはならず、みんなが平等でなければいけません。

つまり、「人々の基本的人権を尊重するには、法の下でみんな平等である必要があるよね!」ってことです。

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法の下の平等は憲法第14条に書かれている!

そんな法の下の平等ですが、憲法では具体的に次のようなことが書かれています。

日本国憲法第14条

第1項 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。

第2項 華族かぞくその他の貴族の制度は、これを認めない。

第3項 栄誉、勲章くんしょうその他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。栄典の授与は、現にこれを有し、又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

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「法の下の平等」の意味

では、憲法に定められている「法の下の平等」とは具体的にどんな意味なのか・・・を確認していきます。

14条には「法の下の平等」について大きく2つの平等の意味が込められています。

法の下の平等の2つの意味
  • 法を平等に適用すること
  • 法の内容を平等にすること

法を平等に適用する!

「法を平等に適用する」とは、特定の人だけが有利になるように法を適用してはダメってことです。

例えば、泥棒で捕まった人がいたときに、Aさんはそのまま罰則を受けたのに、Bさんは由緒ある家柄だったから罪を免れましたとさ・・・って話があってはいけないってことです。

法に基づく裁判を下す裁判所ではこの考え方が特に重要で、裁判所は、国家権力からの圧力・賄賂によって一方に有利な判決を下してしまうことがないよう、「司法権の独立」を絶対厳守しないといけません。

法の内容を平等にする!

「法の内容を平等する」とは、かんたんに言うと「差別するような法の内容を最初からから作るなよ!」ってことです。

もちろん、世の中にいろんな人がいる以上、法律で何か制限を設けることが必要な場合もあります。(民法上の成年後見人の話とかね)

ただ、合理的な理由がないのに「金持ちは〇〇していいけど、貧乏人はやっちゃダメ!」とかって内容を法律に定めることはNGです。もしそんな法律があるとすれば、その存在自体が憲法違反です。

さらに、14条では、人種や信条、性別や社会的身分、門地を差別されない要素としていす。

ほかにも、憲法15条にある選挙権や憲法26条にある教育を受ける権利なども「法の下の平等」を実現するために憲法で定められたルールの1つになっています。

選挙権は、1人につき1票が与えられ、その資格は性別や財産、学歴などに左右されません。

日本国憲法第15条

1 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。

2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

また教育を受ける権利も、法の下の平等が保障されていますり国民は身分や学力、財産関係なくひとしく教育を受ける「権利」が保障されています。そして、これを実現するために「教育基本法」や「学校教育法」などの法律が用意されています。

日本国憲法第26条

1 すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

2 すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。

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法の下の平等がなかった昔の日本

実は戦前の日本には、法の下の平等という概念は原則ありませんでした。

戦前の憲法(大日本帝国憲法)では特に男女差別が多く、当時の女性はさまざまな分野で不利益を被っていました。

一方、今の憲法(日本国憲法)では、どんな人も人種や性別、身分や生まれの違いなどから差別されることは許されません。

どんな法律があっても禁止です。憲法14条では皇族を唯一の例外として、すべての人は平等に扱われると言う考え方を宣言しています。

憲法や皇室典範(皇族について定められたルール)によって、皇族にだけ適用されるルールがあるので、私たちと同じ「法の下の平等」のルールがそのままそっくり適用されることがないのです。

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明治時代の身分差別【華族制度】

戦前の日本に存在した不平等の代表的なものとして華族制度かぞくせいどがあります。

明治時代はよく「江戸時代にあった士農工商の身分差別がなくなって四民平等になった!」とありますが、これは厳密には違います。

正確には「江戸時代よりも差別が減った」であり完全に差別がなくなったわけではありません。明治時代にも大きく「華族」「士族」「平民」の3つの身分格差がありました。

1884年には華族令かぞくれいという法律が制定され、人々は大きく「華族」と「華族以外」に分けられ、華族になるための詳細な条件が設定されました。

どんな人が華族になれたかというと、元貴族や明治維新で功績を挙げた者、元有力大名たちでした。

華族には、他の者にはない特権が与えられており、

  • 身分の世襲を認める
  • 官位授与の約束
  • 学習院への無条件入学

などのメリットがありました。さらにお金がない場合、政府から給付金が渡されるシステムもありました。

さらに1890年に帝国議会が始まり、衆議院と貴族院の二院制が採用されると、貴族院の議員は華族しかなることができず、政治の上でも身分差別が続きました。

しかし戦後になって日本国憲法が制定されるのとほぼ同時に、「法の下の平等」に明らかに反する華族令は廃止されることになりました。

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男女差別と「法の下の平等」の話

最後に、「法の下の平等」の大きなテーマの1つである男女差別についてお話しておこうと思います。

憲法には以下のような定めが書かれています。24条は、「婚姻や家族に関して男女は平等がである(男女差別をしてはいけない)」と言っています。

日本国憲法第24条

第1項 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。

第2項 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。

現在では男女平等という考え方が一般的ですが、過去には「女は劣った性だ」という偏見や差別的慣習が多く、女性は日常的に差別される対象でした。

日本では、この女性差別を無くして「法の下の平等」を実現するため、様々な政策が行われていきました。

女性の地位が大きく転換したのは1975年頃からです。その理由は女性の労働力の上昇です。「家事・育児・介護=女性がするもの」という概念の撤廃運動が拡大し、社会的にもパート雇用などから女性の労働力が社会に影響し出したのです。(いまでは、夫婦共働きの家が当たり前になりつつあります)

国際的にも男女平等に向けた取り組みが始まり、1979年には「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約」(女性差別撤廃条約じょせいさべつてっぱいじょうやく)が国連総会で可決します。

この条約は、

  • 法律、規則、偏見、差別的慣習などの撤廃
  • 個人、団体、企業による差別の撤廃
  • 男は仕事、女は家事という差別的思考の撤廃
  • 男女に特性の差はない

というものでした。

1985年になると、日本も女性差別撤廃条約を適用することになりました。

さらに「男女雇用機会均等法だんじょこようきかいきんとうほう」を制定し、1986年に施行しました。この内容は雇用に関するもので、募集や採用、昇進などでの男女差別を禁じる法律です。

また、1999年には「男女共同参画社会基本法だんじょきょうどうさんかくしゃかいきほんほう」を制定。男らしさ女らしさのイメージに捉われずに、男女が対等の立場でそれぞれの能力を十分に発揮できる社会を目指すためにつくられました。

このように、日本は男女平等を実現しようとしてきましたが、まだまだ24条の理念を十分に生かしているとは言えません。

たとえば、選択的夫婦別姓の容認や、性暴力に関する刑罰などの取り扱いについて今もなお、男女平等をめぐって大きな議論が残っています。

最近は、男女平等に加えてLGBTの問題も大きな議論になっています。私たちには、多様性を認め合う寛容な精神が求められているのかもしれませんね。

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