初心者にオススメの源氏物語入門書3選【わかりやすく簡単に!あらすじも紹介】

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平安時代の数ある文学作品の中で、おそらく最も人気なのが「源氏物語」。内容までは知らなくとも、タイトルを知っている人は多いのではないでしょうか。

 

今回は、そんな源氏物語の魅力やあらすじを軽く交えながら、初心者にオススメな入門書をいくつか紹介してみたいと思います。

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 紫式部ってどんな人?

紫式部は1000~1010年頃に源氏物語を書き上げ、宮内で皇后の女房として活躍した人物です。

 

紫式部については、以下の記事で紹介してますので合わせてご覧いただければと思います。

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紫式部の人物像については、上の記事に譲りここでは割愛します。

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源氏物語のあらすじは?

源氏物語は、超長編の恋愛小説。不倫あり不倫あり不倫ありな、とってもドロドロした恋愛小説です。ただし、今と昔では文化が違うので当時は不倫自体は一辺倒に悪とは言えません。というか今と文化が違うからこそ源氏物語のような作品が生まれたとポジティブに解釈すべきだと思います。

 

源氏物語の主人公は、光源氏。源氏物語のあらすじを簡単に整理すると大きく3部構成担っています。

  1. 光源氏誕生〜幼少期の物語
  2. 光源氏の物語
  3. 光源氏の息子(夕霧)の物語

 

それぞれ簡単に紹介してみます。

桐壺(きりつぼ)

源氏物語の第1章は「桐壺」というタイトル。桐壺は光源氏の母。

 

光源氏は、天皇と桐壺の間に生まれた子ですが、桐壺は身分の低い女性で天皇の妾。

 

天皇は、桐壺を異常なほどに寵愛しますが、周囲の女性からは「低い身分のくせに天皇に寵愛されて生意気だわ!!!」と疎まれ、陰湿ないじめを受けます。

 

心を苦しめる桐壺。寵愛すればするほど桐壺を苦しめてしまう天皇。桐壺に敵対心を抱く正妻の弘徽殿女御(こきでんのにょうご)や宮内の女性たち。

 

そんな三者のやり取りから源氏物語は始まります。桐壺は光源氏が3才の頃、病により死亡。その後は、藤壺の宮という女性を継母として光源氏はすくすくと成長します。容姿端麗で可愛らしい光源氏は宮内で大人気でした。

 

桐壺の話の後、「良妻とはどんな女か?」という議論が挟まって、光源氏の青年期の色恋話へと話が変わります。

禁断の愛を交わす光源氏

藤壺の宮を継母としてすくすく育つ光源氏。桐壺は出産後間も無く亡くなったため、光源氏に桐壺の記憶はありません。ところが、周囲では「藤壺はまるで桐壺のように美しい女性だ!」と噂をするものだから、光源氏も次第に藤壺に実母の姿を投影するようになります。

 

とはいえ、藤壺と光源氏は5歳しか年が離れておらず、周りから見ればその姿は親子よりも姉弟に近いものでした。

 

光源氏が元服し成人すると、光源氏はこの藤壺に恋心を抱くようになります。

 

藤壺は光源氏の継母、しかも天皇の妻です。とある夜、藤壺と光源氏はついに交わり、藤壺は妊娠。そして男の子が生まれました。

 

「この赤ちゃんは、息子の光源氏との間に生まれた子ですよ」なんて口が裂けても言えない藤壺の宮。この男の子は、天皇と藤壺の宮の間に生まれた子として育てられ後に冷泉帝として天皇即位を果たします・・・。

 

冷泉帝は天皇が藤壺を寝取られて生まれた光源氏の子。藤壺と光源氏は生涯、この事実を天皇に隠し続けた罪に苛まれることになります。

 

光源氏は葵の上という人物を正妻とし、様々な女性と関係を持ちます。紫の上、空蝉、夕顔、末摘花、明石の君・・・などなど。年齢のストライクゾーンも10代〜50代と超広くまさにプレイボーイという言葉がふさわしいです。

 

ちなみに、源氏物語は恋愛小説ですので、全て架空の人物。個人的には冷泉帝・朱雀帝というのが実際に存在していた天皇の名である点が気になっています。なぜここだけ実在した天皇にしたんだろうか・・・。

 

夕霧と薫の君

光源氏には葵の上との間に生まれた息子がいました。名を夕霧と言います。

 

光源氏は、藤壺との過ちのようなことが夕霧に起こらぬよう、夕霧には美人な女性を近づけずに育て上げます。そんな教育方針もあってか、夕霧は光源氏とは対照的で長い間1人の女性を愛し、雲居の雁という女性と結婚します。

 

夕霧には柏木という友人がいました。その柏木、なんと光源氏の妻だった三の宮を寝取り妊娠させてしまいます。しかし、光源氏はこれを昔の藤壺との過ちによる因果応報だと考え、両者を責めることもしませんでした。

 

柏木が三の宮を寝とって生まれたのが源氏物語の最後の主人公、薫の君でした。柏木は病に倒れ、帰らぬ人となり、薫の君は光源氏が世話をすることになりました。

 

もうこれだけでもお腹いっぱいなんですけど、まだ話は続きます。

 

最後、源氏物語の舞台は宇治に移ります。(宇治市に源氏物語ミュージアムがあるのはこのせいなんですね!始めて知りました!)

 

薫の君は浮舟という女性を愛するようになりましたが、浮舟は匂宮というプレイボーイと情熱的な浮気をしてしまいます。浮気をした罪悪感や薫の君に責められたことに心を苦しめた浮舟は突如として都から姿を消し入水自殺を図るも失敗。最終的には出家し、新しい人生を歩み始めます。

 

その後、薫の君は浮舟の元へ使いを送るも面談を拒否され、薫の君は「また別な男に匿われてるのか!(怒)」とボヤきながら源氏物語は終わります。

 

良心の呵責に苦しみ決意を新たにした浮舟と、そんな浮舟の気持ちなど理解せずひたすら浮舟を攻め立て器の小ささを見せる薫の君。源氏物語のその最後は、なんとも余韻の残る終わり方です。

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源氏物語の昼ドラを圧倒的に超える面白さ

上の簡単なあらすじだけでもわかると思いますが、とにかく意味深な関係が多すぎて読んでいても飽きることがありません。

 

しかも、それでいて藤壺の寝取りと柏木の寝取られという因果応報な展開や、寝取られて生まれた薫の君の微妙な最後など、伏線も数多くあり、まさに日本有数の文学作品に相応しい内容になっています。

 

超長編にも関わらず、その人間関係や出来事にしっかりと伏線も持たせながらストーリーを作り上げた紫式部は本当に凄いです。源氏物語を読むと改めてこの物語のすごさを実感。ちなみに最後の薫の君と浮舟のストーリーは作者が紫式部じゃない説もありますが、私は紫式部が書いたんじゃないか?と思ってます。(根拠はない)

 

超長編で読むのに一苦労な源氏物語ですが、何も知らない方でも簡単に読める本が今では数多く出版されています。最後に、源氏物語を読むのにおすすめな入門書を紹介します。

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 源氏物語

知名度は低いんですけど、一番のおすすめ!

 

マンガ形式によるわかりやすいさ・絵の面白さとマンガ形式にも関わらず原文が全部載っている詳しさを兼ね揃えた万能な一冊。特にマンガ形式の源氏物語の中ではダントツ一位で詳しい本だと思います。

 

マンガ形式が嫌な人を覗き、源氏物語を読みたいならまずは最初にこの本を読むべき。わかりやすさと詳しさを両立させたこのような本は決して多くはないです。

 

ただし、デメリットもあってAmazonではKindle版しか売っていません。ちなみに、家の近くの漫画喫茶にはありました。でも本屋では見かけません。もう紙媒体としては売ってないのかな・・・?

それに、マンガにも関わらず全文を載せているので巻数も多いのでコスパは悪いかも?

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源氏物語(角川ソフィア文庫)

読みやすい古典として定評の角川ソフィア文庫のビギナーズ・クラシックスシリーズ。

 

わかりやすさはピカイチでコラムや著者の意見が面白い。原文と現代語訳もあって、何も知らなくてもすらすら読めます。欠点は、全文が載っていないこと。重要なシーンをピックアップして紹介しているのですが、源氏物語は超長編なので、ちょっと物足りない感がある。私は最初にこれを読みました。

 

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まんがで読破!源氏物語

これも古典まんがとして定評のまんがで読破!シリーズ。ページ数も少なく、要点だけを詰めたマンガです。源氏物語の概要やあらすじを短時間でサッと掴みたいという目的ならおそらく最強。これも角川ソフィア文庫と同じく、全文は載っていないし原文も載っていないのでしっかりと読みたい人は別な本で読みましょう。

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源氏物語 上 (池澤夏樹=個人編集 日本文学全集04)

源氏物語を腰を据えてしっかりと読みたいガチ勢向きの一冊。マンガとか要点だけまとめて・・・とかじゃなく、まさに王道の一冊です。現代語訳もわかりやすく読みやすいので、ガチで読みやい派の人にオススメしたいです。

 

なお、源氏物語は与謝野晶子による現代語訳が青空文庫でフリーであるので、そっちで読むこともできます。ただ、昔の現代語訳なので単語や表現に難があります。スラスラと読むのは難しいかもしれません。短編ならまだしも超長編ですからね。とは言え、無料ですので試す価値はあるかも?

 

以上、源氏物語の紹介でした!ほんと面白いですのでぜひご一読を。あと紫式部日記も!!

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この記事を書いた人
もぐたろう

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