その1、その2をご覧になっていない方はまずはこちらから!
その1:京都観光の前に知っておきたい仏像の豆知識
その2:京都観光の前に知っておきたい仏像の豆知識その2
今回は「弥勒菩薩」と「明王・天部」の説明になります!
ちょっと変わった弥勒菩薩
弥勒菩薩は、困苦ばかりの現世の人びとに悟りを開かせてくれる救世主。
弥勒菩薩は、菩薩と言いつつも釈迦如来に近い力を持っています。弥勒菩薩が現世に来てくれたら多くの人が仏さまになれる。なんて素晴らしい菩薩!
しかし・・・、助けにきてくれるのは56億7000万年後と言われています。
遅すぎる!(笑)
そして現在は,人々を救う方法を考えている真っ最中なので、仏像も考え事をしている様子が多い。
思索にふけっている様子がわかります!人々を救う方法を考えてくれています。
弥勒菩薩は広隆寺の仏像が有名です。
広隆寺について知りたい方は、こちらの記事をどうぞ!
つ広隆寺の弥勒菩薩がミステリアスすぎる!【京都最古の仏像】
広隆寺にある弥勒菩薩半跏(はんか)像は、なんと国宝第1号の仏像なんです!このほか、京都に現存する仏像の中では最古の仏像とも言われています。
半跏像というのは考えている様子を指しています。「半跏思惟(はんかしゆい)」という考えている様子を指し言葉の略称です。
地蔵菩薩(おまけ)
いわゆるお地蔵さん。どこに行っても見られるお地蔵さん、実は菩薩だったんです。意外とすごいやつだったんですね!
現世には今現在、仏さまはいません。
釈迦・阿弥陀・薬師みんなこの世界とは別の世界にいます。人々はこの別な世界へ行けることを願って如来たちを信仰しています(薬師如来は病気を治してくれる如来なのでちょっと違いますが)。
56億7000万年後に弥勒菩薩が現世に降り立つ(これを「出世」といいます。)までの間、現世には仏さまがいない状態なんです。
弥勒菩薩の出世までの間、つなぎ役で人々を救うために現れたのが地蔵菩薩です。
現世の仏さまの代わりを務めるという性質上、民衆からも親しまれやすかったに違いありません。どの地域に行ってもお地蔵さんってありますからね。
道端に置いてあるお地蔵さん。汚したり馬鹿にしたらいけませんよ!
明王を知る
明王は「不動明王」が有名です。真言密教特有の存在。
真言密教では、即身成仏に向けて厳しい修業を行うこととされています(詳しくは空海の記事に掲載)が、その修行者を見守るのが不動明王の役目です。
見守ると言っても、荘厳な修行僧を守るのですから、かなり本気モードです。そのため、いつも怖い顔をしています。人を怖がらせようとしているわけではありません。必死なんです。
不動明王は、仏さまの住む世界と人間の住む世界の中間点に住んでいます。そこは、人間世界の煩悩が仏世界へ入り込まないよう火炎がほとばしる世界になっていることから、不動明王の仏像や絵画は、背景が火に包まれていることが多い。
怖い顔をして火炎に包まれている不動明王。アニメや漫画でよく敵キャラとして登場します。敵じゃないのに・・・。損な役回りです。
もしゲームなどで敵として見かける機会があっても、不動明王は本来人々を救うための存在であるということを忘れないでくださいね!
天部を知る
天部は、仏世界の守護神的存在です。有名なものだけを紹介していきます。
梵天と帝釈天
梵天は、お釈迦様にその素晴らしい教えを人々に説いてみてはどうか?と勧めた仏。頭脳派。
帝釈天は、戦闘のプロ。めちゃ強い。行動派。ライバルは阿修羅。
【右】が梵天、【左】が帝釈天です。この図だと梵天のほうが強そうに見えますが、力は帝釈天の方が上です。
梵天と帝釈天は釈迦如来の守護神として、文殊・普賢菩薩の代わりに仏像の両脇に置かれることもあります。
阿修羅
仏教界の悪のボス。最強の力を持ち、帝釈天と互角に渡り合う存在。しかし、その後お釈迦様の教えにより仏教界の守護神として心を入れ替える。
「修羅場」という言葉は、最強である阿修羅さんが戦っている様子を意味している。
漫画やゲームでも大人気!
興福寺の4つの顔を持つ阿修羅像が有名です。(上の写真は興福寺の阿修羅像です。)
四天王
これも漫画やゲームで大人気。ポケモンで飽きるほど戦ったのはいい思い出。
四天王は帝釈天の部下で、東西南北に1人ずつ配置されている。
特に北の方角は鬼門とされ、4方角で一番強い武将が配置されました。北に配置された四天王のことを毘沙門天(びしゃもんてん)と言います。四天王の中で最強の存在です。
下の画像は、興福寺の毘沙門天像です。イ、イケメン(汗)
戦国時代の上杉謙信は、その強さから毘沙門天の化身と言われることがありますが、四天王の話が由来になっています。
さらに四天王は八部衆という部下を引き連れています。八部衆の1人が先ほど話した阿修羅さんです。なんだか会社組織みたいですね。
部長:帝釈天
課長:四天王
係長:八部衆
と言ったところでしょうか。
四天王や八部衆は興福寺に行くとみることができます。
焼失する仏像
仏像は大きく2つの時期に大量焼失したとされています。
1つ目は、平安末期の平清盛による南都焼き討ち
2つ目は、戦国時代の幕開け。京都を舞台にした戦いである応仁の乱
このほか自然火災等々いろんな困難を乗り越えてきたのが現存する仏像たちです。そんな風に仏像を見てみると感慨深いものがあります。
まとめ
仏教にはいろんな仏さまが登場します。覚えるのが大変ですが、これが一神教的宗教にはない面白さだと思います。
何度か話にでましたが、仏さまは漫画やゲームでも頻繁に登場し、日常生活に密接に関係しています。
今の人びとが科学技術を信じるのと同じように、当時の人びとは仏さまのことを本気で信じていました。だからこそ今現在、大量焼失後もこれだけの仏像が存在しているのです。
現代人とは、全く違う価値観を持っていたということを知ってもらえればと思います。仏像を見て、当時の日本の熱烈な仏教信仰をぜひ感じてみてください。
コメント