誰でもわかる阿衡の紛議!わかりやすく解説!【宇多天皇と藤原基経の喧嘩話】

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前回は、光孝天皇の時代に藤原基経が関白となった話をしました。

 

当時、関白という役職は、天皇が代わると新たに任命されなければなることができないと考えられていました。

 

光孝天皇が譲位し、新たに宇多天皇が即位したとき、実質的関白(関白という名称はこの時点ではない)であった藤原基経は、宇多天皇から改めて実質的関白として任を受けようとします。

 

そのときに起こった事件が、阿衡の紛議とよばれるものになります。

 

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橘広相「藤原基経は、阿衡に任ずる!」基経「は?」

事の発端は、藤原基経は関白になりたかったのに「阿衡」という全然違う役職に任命されてしまったことにあります。

 

「関白」(この時は関白という名称はなく「太政大臣として大政を任ず」というにとどまっていましたが、とりあえず関白と表記します。)という役職は、光孝天皇が藤原基経に天皇にしてもらった恩義を感じて作り出しかなりイレギュラーな役職でした。

 

再び太政大臣になればいいのでは?と思うかもしれませんが、太政大臣は既に名誉職としての意味合いが強く、藤原基経は太政大臣に具体的な仕事を加えてもらうか、別の役職に任命されることを望んでいました。

 

そして、光孝天皇のときの太政大臣なのに具体的な職があるというのはイレギュラー中のイレギュラーだったわけです。

官僚の超お役所仕事。基経を無理やり既存の役職にぶち込む

官僚たちは、光孝天皇が任命した役職名がないこのイレギュラーな仕事に無理やり既存の役職にぶちこもうとします。

 

それが「阿衡(あこう)」という役職でした。「阿衡」とは昔の中国で用いられていた役職で、名誉職的な役職でした。

 

名誉職なので、具体的な仕事内容はありません。

 

具体的な仕事内容を伴う役職がほしかった藤原基経はこれに激怒!

 

事の発端はこんな流れで起こりました。

阿衡の紛議(ストーリー風)

以下、物語風に阿衡の紛議について解説します。

 

宇多天皇「私は、藤原基経のおかげで天皇になれた。光孝天皇のころに引き続き、藤原基経に政治の権限を委ねたい。官僚たちよ、必要な手続きを頼むぞ!」

 

※光孝天皇の次の天皇である宇多天皇も藤原基経の推薦により天皇になることができました。細かい経緯は省略(汗

 

橘広相(たちばなのひろみ)「は!わかりました!」

 

橘広相「とは言ったものの、藤原基経のポジションは非常に特殊なものだったので、ちゃんとした名称がない。法令上、どのような役職に藤原基経を位置付ければ良いのだろうか?そうだ、昔中国で使われていた阿衡という役職がいいんじゃないかな!よし、それで決定!」

 

橘広相「藤原基経、お前を阿衡に任ずる!」

 

藤原基経「は?阿衡って中国であった名誉職だよね?名誉職ってことは具体的な仕事はないってことだから、何もするなってことかな?実質的最高権力者に対してそんなこと言っていいのかな?あんまり調子に乗ってるようだとひねりつぶす潰すよ?^^」

 

橘広相「ひえ~、そ、そんなわけではないんですぅ~。確かに大昔には阿衡という役職は名誉職でしたけど、ちゃんと大権を持つ役職だった頃もあったんですよ(汗」

 

藤原基経「いいよもう。俺仕事しないから。どうなってもしーらね。それじゃ」

 

宇田天皇「基経が仕事をボイコットしたせいで、大事な仕事が全然進まん・・・。やばい。でも、全部基経のいいなりじゃ天皇としてのメンツが保てない。ここは、法律家に任せて客観的な意見を聞こう」

 

こうして、法律家たちを交えて、「阿衡」には仕事があるのか?というのが議論されました。

【審議中】
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藤原基経「俺は阿衡なんて役職真っ平御免だ。お前ら、最高権力者の俺に逆らったら人生終わりだからな(ボソっ」

 

法律家たち「・・・・」

 

法律家たち「結論。阿衡は無職!」

 

藤原基経「ということは、天皇が俺に今までのように政治の全権を任せろ、と言っていたのに橘広相は俺を無職にしたことになる。これは天皇に逆らったことになる。お前は処分を受ける必要がある。流罪(島流し)だ。さいならーww」

 

橘広相「( ´゚д゚)´゚д゚)´゚д゚)´゚д゚)´゚д゚)」

 

菅原道真「まぁまぁ、橘広相は、阿衡にはちゃんとした職があると思って良かれと思ってやったことなんだから、それは重過ぎる処分なんじゃないかい」

 

宇多天皇(俺もそう思うけど、基経の気分を損ねると国政が回らなくなる・・・。)

 

宇多天皇「橘広相は流罪」

 

宇多天皇(結局、天皇でも藤原基経には逆らえないのか。天皇とはなんなのか・・・。無念・・・。)

 

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天皇権力の再興を目指して -菅原道真の重用-

阿衡の紛議を通して、天皇の無力さを思い知った宇多天皇。100年前の天皇とは比べ物にならないほど天皇権力は弱体化し、藤原氏が力をつけ始めていたのでした。

 

藤原基経の推薦で天皇にしてもらった宇多天皇としては、直接的に藤原氏には逆らえないのですが、なんとか強くなりすぎた藤原氏の力を抑えようと頑張ります。

 

そこで、藤原氏の対抗馬として宇多天皇に重用され始めたのが学問の神様で有名な菅原道真(すがわらのみちざね)です。

 

菅原道真って学問の神様で有名ですが、何をした人か知っていますか?

 

次回は、菅原道真の話です。

次:菅原道真はなぜ左遷され祟りを起こしたか?超丁寧に解説する。1/3

前:誰でもわかる摂関政治!関白とは?阿衡の紛議とは?4/4

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この記事を書いた人
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コメント

  1. 増田健汰 より:

    学校のテストでここがテスト範囲だったんですが事件の詳細とか分からなくて記述どうしよう…と悩んでた時このサイトを見つけました!!!端的になってしまいますがとにかく凄いわかりやすかったです!!ありがとうございました!