奈良観光と言えば、奈良公園!奈良公園と言えば鹿!
おそらく、奈良に観光に行かれる方のほとんどが、奈良公園へ行くことでしょう。
ところで、奈良公園にはなぜ、あんなに鹿がいるのか知っていますか?それは、奈良では鹿が神の使いとして信仰の対象となっているからです。
では、なぜ鹿が神の使いなのか知っていますか?
おそらく知っている人は多くないと思います。
今回は、奈良公園にいる鹿についてお話していこうと思います。鹿が神の使いと崇められている理由は、古事記(こじき)という日本神話に隠されています。
というわけで、日本神話の話を中心に説明していきます。
登場する神様たちの紹介
まずは登場神様の紹介です。5人います。
天照大神(あまてらすおおみかみ):神様の中でも一番偉い神様。日本の天皇家のご先祖様。
忍穂耳の命(おしほみみのみこと):天照大神の息子
ニニギの命(ににぎのみこと):忍穂耳の息子。天照大神の孫にあたります。
大国主の神(おおくにむしのかみ):出雲国(今でいう島根あたり)の支配者
建御雷之男の神(たけみかずちのおのかみ):天照大神の命令により出雲国を奪うために派遣された使者。めちゃくちゃ強い。
出雲国を支配したい天照大神
天照大神は、日本全体の統治を息子の忍穂耳の命にお願いしようとしていましたが、日本を支配するには、出雲国を支配している大国主の神が邪魔でした。
天照大神「日本を支配するには、出雲の大国主の神が邪魔だな。建御雷之男の神よ、その力で出雲を服従させて来い」
建御雷之男の神「了解した。」
天照大神は、武勇で名高い建御雷之男の神に、出雲国を服従させるよう命令します。こうして建御雷之男の神は神々の住む世界から出雲へと降り立ちます。
ところで出雲国って何? -出雲大社の凄さ-
なぜ、唐突に出雲が登場するのでしょうか?
実は、今から1500年以上前、出雲には独立した強大な国であったと考えられています。その理由は2つあります!
・出雲大社という強大な社が建てられたこと
・古事記(神話)の中で出雲が唐突に登場すること
出雲国は、昔々、畿内のヤマト朝廷が日本を支配しようとしたときに、その最大の障壁として立ちはだかったとされています。しかし、その出雲もヤマト朝廷に屈してしまうことになります。
そして、その時の様子が、神話として現代まで語り継がれているのだと考えられています。
・・・と考えると、今ある出雲大社って歴史的にとても重要な場所であることがわかります。
本題に戻ります。
大国主の神を服従させる建御雷之男の神
出雲を支配するために派遣された建御雷之男の神は、大国主の神を服従させることに成功します。
天照大神「出雲を服従させたから、息子の忍穂耳の命に日本の統治をお願いしよう」
出雲国を服従させたところで、天照大神は、息子である忍穂耳の命に日本の統治を託そうとします。
ところが、忍穂耳の命はこれを断ります。
忍穂耳の命「それは私には重すぎる役目でございます。私の息子であるニ二ギの命に託すのが良いでしょう」
天照大神「そう言うなら仕方ない。孫のニ二ギに日本へ行ってもらうことにしよう」
こうして、天照大神は無事に日本を統治することができたのです。めでたしめでたし・・・というの神話が、奈良公園の鹿に関係しているんです。
ニ二ギは天照大神の子孫の中で初めて日本に降り立った神です。このエピソードは、日本神話(古事記)の中でもとても重要な意味を持ちます。だって、日本に天皇が存在できるのはニ二ギが日本に降り立ったおかげなんですから。
神話(古事記)は天皇の正当性を示すために作られたものですから、このシーンが重要なのは当たり前なのです。
(古事記作成のエピソードは、天照大神はなぜ日本の最高神なのか?伊勢神宮と天武天皇で簡単に触れています!)
すみません。話が逸れました(汗
奈良公園と鹿を知るにあたってのキーパーソンは、天照大神の日本統治を手助けした建御雷之男の神です。
建御雷之男の神はあの有名な藤原氏の氏神
実は、建御雷之男の神は、摂関政治で有名な藤原氏の氏神なんです。
建御雷之男の神は、天照大神の日本統治という重要な局面で多大な貢献をした重要人物。そして藤原氏も古代日本の政治を支えた重要人物。建御雷之男の神の神話での活躍と藤原氏の現実の活躍は似ているものがあります。
鹿に乗り、春日大社に舞い降りる建御雷之男の神
(出典:www.sumitomo.or.jp)
奈良時代、藤原氏は、自分たちの神様である建御雷之男の神を今の春日大社に祀ろうと考えます。
藤原氏「氏神である建御雷之男の神を近くの春日山に祀ろうではないか」
藤原氏「私たちの守り神である建御雷之男の神よ。春日の地へ降り立ってくださいませ。」
建御雷之男の神「言われてきたから春日山に来てやったぞ。よくらからんけど、鹿に乗ってきたwww」
藤原氏「鹿!?そうか、鹿は建御雷之男の神の使いなのか!神の使いを虐げては、建御雷之男の神から叱責をされてしまう。鹿は神の使いとして丁重に扱うように!!」
という流れを今でも受け継いでいるのが奈良公園の鹿たちなんです。
こう思う人がいるでしょう。「でもそれ春日山の話でしょ?奈良公園関係ないじゃん!」
奈良公園と春日大社と興福寺 -藤原氏を感じる-
春日大社と奈良公園はとても近い位置にあります。(下にgooglemapを貼りました。)
さらに、昔の藤原氏は、上の地図で言う、春日大社、奈良公園、興福寺を含めた一帯すべての土地を持っていました。強大な力を持っていることがわかります。実際に奈良公園周辺に行ってみると、藤原氏の凄さが実感できます。
つまり、奈良公園は、時代をさかのぼれば藤原氏の土地だったということ。なので春日大社と奈良公園は無関係ではないのです!!
このあたりの話は、
で詳しく書いています。
奈良公園に行くときは、今回紹介したような豆知識を持っていくと奈良観光がもっと楽しくなるはずです!
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