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面白いほどわかる『漢書』地理志!簡単にわかりやすく解説【内容と楽浪郡、カッコの意味について】

この記事は約4分で読めます。

今回は、弥生時代の日本について書かれた貴重な史料漢書かんしょ地理志ちりしについてわかりやすく丁寧に解説していきます。

最初に教科書風に『漢書』地理志の概要を載せておきます↓

「漢書」地理志

1世紀に作られた漢(前漢)の歴史を述べた『漢書』地理志によると、倭人の社会は100の国にわかれ、楽浪郡らくろうぐんに定期的に使者を送っていた。

この記事を読んでわかること
  • そもそも『漢書』地理志って何?
  • 『漢書』地理志からわかる日本の様子は?
  • 楽浪郡って何?

『漢書』地理志とは?

『漢書』地理志は、当時の中国(漢)で制作された歴史書です。

数巻にも分かれた膨大な量があり、数巻もある漢書うち、地理志という巻に1世紀の日本の様子について記述が残されていました。

『漢書』地理志の謎のカッコは漢書うち地理志の巻という意味を表しています。

1世紀の日本は弥生時代です。当時の日本にはまだ文字がなく、文献史料が存在しないため、当時の様子を知るのは至難の技です。

ところが、文明の進んでいる中国ではこの頃からすでに文字が使われており、その中に若干ながら日本について書かれている貴重な史料がありました。

『漢書』地理志はその貴重な史料の1つであり、日本について文字で書かれた最も古い史書でもあります。

『漢書』地理志に書かれている日本の様子

『漢書』地理志は、1世紀の日本についてこんな風に書かれています。

それ楽浪海中に倭人わじんあり、分かれて百余国と為る。歳時をもって来り献見すという。

現代語訳すると「楽浪郡に倭人がいて、倭人の国は百あまりに分かれている。楽浪郡には定期的に貢物を献上していた。」という感じでしょうか。(厳密ではないかもしれません。)

短い文章ですが、これだけでも以下のことがわかります。

『漢書』地理志からわかること
  • 1 日本は統一された国ではなく、小国が乱立している状況だった
  • 2 中国(漢)では、日本人を倭人と呼んでいた
  • 3 倭人たちは、定期的に楽浪郡を行き来していた

1世紀の日本は、集落の周りに堀や土塁をめぐらした環濠集落かんごうしゅうらく(吉野ヶ里遺跡が有名!)や、不便でも防御に優れた高地性集落こうちせいしゅうらくなど、守備を重要視した集落が増えていることがわかっています。

これは、集落同士の争いが激しかったことを物語っており、『漢書』地理志に書いてある国が多く乱立している状況とも一致します。

楽浪郡とは?

紀元前108年、中国(漢)は朝鮮半島を支配下に置きました。

中国(漢)は新しい領地を統治するため、朝鮮半島を4つの群と呼ばれる領域に分割します。その1つが楽浪郡です。

楽浪郡の役所は、現在のピョンヤンあたりにあったと言われています。

『漢書』地理志は、紀元100年前後に書かれたと言われているので、和人の話は、楽浪郡ができてから『漢書』地理志が完成するまでの、紀元前100年〜紀元100年ぐらいの話だとわかります。

『漢書』地理志では、倭人はこの楽浪郡へ定期的に貢物をしていたとあります。

ここで、1つの疑問が生まれます。

倭人たちは、なんのためにわざわざ海を渡って中国(漢)まで貢物をしていたの?

倭人に何かメリットあるの?

理由は推測するしかなく、はっきりしたことはわかりませんが、以下の2つの理由が挙げられます。

倭人が楽浪郡へ貢物をした理由
  • 中国(漢)の後ろ盾を得て、倭国内の争いを有利にしようと考えた。
  • アジア大陸の技術の進んだ物を手に入れて、他国よりも有利な立場に立とうとした。

いずれの理由も、「倭国で起こっている国同士の争いを勝ち残るため」という点で共通しています。

ちなみに、「楽浪郡に行く」と字面だけ見ると簡単そうですが、当時、海を渡るのはとても大変なことでした。

造船の能力が必要になるし、難破や遭難のリスクもあります。まさに命がけの行為です。

当時の倭人たちにとって、楽浪郡への貢物は国を守るため、命を懸けてでも必要なことだったのかもしれません。

そして、『漢書』地理志にわざわざ記録が残されているということは、それなりの頻度で楽浪郡に行っていたのでしょう。

『後漢書』東夷伝という別な史料にも、今回紹介した『漢書』地理志と似たようなことが書かれています。合わせて読んでみると理解が深まるかもしれません。



弥生時代
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この記事を書いた人
もぐたろう

教育系歴史ブロガー。
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